抗利尿薬の成分の一つ。
- 分子式: C46H64N14O12S2
- 分子量: 1069.22
- 一次構造:
- Mpa‐Tyr‐Phe‐Gln‐Asn‐Cys‐Pro‐Arg‐Gly‐NH2 (MpaとCysはジスルフィド結合している)
- SCH2CH2CO‐Tyr‐Phe‐Gln‐Asn‐Cys‐Pro‐Arg‐Gly‐NH2
- 比重: (該当資料なし)
- 融点: (該当資料なし)
- 沸点: (該当資料なし)
- CAS番号: 16679-58-6
- ICSC番号: (登録なし)
- 化学名:
- 1-(3-Mercaptopropionic acid)-8-D-arginine vasopressin
- 1-Desamino-8-D-arginine vasopressin (ここから俗にDDAVPと称される)
デスモプレシン

英名Desmopressin acetate。酢酸塩にも幾つかあるが、一般的なものは二酢酸塩である。
- 分子式: C46H64N14O12S2・2(C2H4O2)
- 分子量: 1189.32
- 比重: (該当資料なし)
- 融点: (該当資料なし)
- 沸点: (該当資料なし)
- CAS番号: 16789-98-3
- ICSC番号: (登録なし)
- 化学名:
- 1-(3-Mercaptopropionic acid)-8-D-arginine vasopressin diacetate
- 1-Desamino-8-D-arginine vasopressin diacetate
デスモプレシン酢酸塩

医薬品としては、デスモプレシンの酢酸塩である二酢酸デスモプレシンが使われている。体内での効果は変わらない。
この物質はペプチドであり、経口で服用しても酵素分解で消化されてしまうため効果が出ない。従って、点鼻薬や鼻腔内用スプレーとして使用する。
デスモプレシンは、本物の抗利尿ホルモン(バソプレシン)より、以下の点が優れるとされる。
- 抗利尿作用が長時間持続する
- 末梢血管の収縮作用が少ないため、血圧の上昇や、筋肉への影響が少ない
- 鼻腔内投与で確実に有効
脳より抗利尿ホルモンが充分量分泌されない尿崩症(中枢性尿崩症)に有効。
また夜尿症の治療にも用いられる。
ヒトには、脳下垂体の後葉より抗利尿ホルモンを分泌し、これが腎臓内のネフロンの一端である集合管に作用し、尿の濃縮を調整し、作られる尿量を減らす機構がある。
このデスモプレシンは同様の働きを有しており、集合管のバソプレシン受容体(V2)に同様に結合し、糸球体内の原尿から水の再吸収を促し、強い抗利尿作用を示す。
中枢性尿崩症では点鼻液またはスプレー2.5で、小児で一回量2.5μg〜5μg、成人で5μg〜10μgとし、一日1〜2回を投与する。投与量は飲水量や尿量等により適宜増減する。
夜尿症ではスプレー10で、就寝前に10μg〜20μgを使用する。
服用後は、水分の摂取量に充分注意する。
水分を摂り過ぎると体内に水分が増え過ぎる水中毒となり、重症になると意識障害や痙攣などをおこし危険である。
- 水中毒
- 倦怠感
- 頭痛
- 悪心 (吐き気)
- 浮腫(むくみ)
- 意識障害
- 痙攣
- 低ナトリウム血症
点鼻薬、または鼻腔内用スプレーとして用いる。
製品例に、次のようなものがある。
- デスモプレシン点鼻液協和
- デスモプレシン・スプレー2.5協和
- デスモプレシン・スプレー10協和
上記は日本での輸入販売元は協和発酵工業、製造元はスウェーデンFerring AB社である。
用語の所属

抗利尿ホルモン
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