燐酸オセルタミビルを有効成分とする抗インフルエンザウイルス剤(ノイラミニダーゼ阻害剤)。A型とB型のインフルエンザウイルスに効果が有るとされる。
スイスのロシュ社によって製造された。日本ではロシュグループの中外製薬が販売している。
A型、B型インフルエンザ感染症の治療に用いる。
基本的には一日2回を5日間服用して使用する。
1歳未満の小児の安全性は確認されていない。妊婦・授乳中の婦人への安全性も確認されていない。
燐酸オセルタミビルはプロドラッグ(ドラッグの前駆体)であり、体内で代謝されることで活性化し、抗ウイルス効果を示す。
本剤の活性体は、ヒトA型及びB型のインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、感染細胞からの遊離を阻害することでウイルスの増殖を抑制する。
不明。
原薬名Oseltamivirからtami、インフルエンザInfluenzaからfluを取り、合わせてtamifluとした。ちなみに英語圏ではインフルエンザを単にfluと言うことも多い。
天然有機酸のシキミ酸より10段階の工程を経て合成されるが、後に1,4-シクロヘキサジエンからの合成法が発明された。詳細は燐酸オセルタミビルの項を参照。
インフルエンザウイルス感染症はワクチン療法を原則とした予防が第一である。
本剤はワクチン療法と置換可能なものではないが、近年ワクチンが無いため恐れられている鳥インフルエンザに効果があるとされ、爆発的な売れ行きとなっている。先進国では鳥インフルエンザに備えて人口分を備蓄する国も多い。
本剤は、発症してから48時間以内でないと効かない。しかし、48時間以内にインフルエンザと診断すること自体がそもそも困難なのが現実である。
またインフルエンザにはタミフルが効くタイプと効かないタイプがあるが、その違いは現在使われている迅速診断キットでは見分けられない。
タミフルが直接の原因かは現時点では不明だが、タミフルを飲んだ岐阜県と愛知県の少年二名が直後異常行動を取り死亡していたことが2005(平成17)年11月12日の報道で明らかとなった。一名は2004(平成16)年2月にトラックに飛び込んで、もう一名は2005(平成17)年2月にマンションの9階から転落して死亡した。
トラック事件の後、輸入販売元の中外製薬から報告を受けた厚生労働省は「薬との因果関係が否定できない異常行動による死亡例の報告は初めて」としている。
同省は、注意喚起するかどうかも含めた検討をすると発表した。
その後、NPOによる調査では2001(平成13)年2月の販売開始以来、日本では少なくとも8人が突然死していると報道されているが、信憑性は不明。
尤も、タミフルの副作用は厚生労働省の承認の際には既に分かっていたことであり、添付文書にも副作用は記載されている。副作用はあくまで幻覚症状だけであり、死亡に関してはタミフルに原因がある証拠はない。
つまり、これまで1000万人以上に投与されたと考えられるうち、僅か2件が学会発表されたのみで、発現率は僅か0.00002%、と言うことである。
医薬品の中で、これほど効果が劇的でありながら、これほど副作用が少ないものは皆無で、非常に珍しいことである。タミフルが安全で良くできた薬だということが再認識された事例でもある。
そもそも、このようなマスコミの報道を真に受けて薬物治療を止めれば、インフルエンザの大流行を招いて大量の死者が出ることは自明である。実際に、過去マスコミの愚かな「予防注射禍」報道のせいで麻疹が大流行した。
2007(平成19)年10月24日、タミフルと異常行動等の因果関係を検討する厚生労働省の作業部会は、輸入発売元の中外製薬に指示した動物実験の結果について「異常行動と関連付けられるデータは今のところ無い」と中間発表した。また、心不全等による突然死についても「関係している可能性は低い」とした。
同部会によると、血液脳関門はタミフルの薬効成分を通さない上、通常の150倍の濃度の薬効成分を使っても脳内蛋白質に異常は見られなかった、とした。また、米国における20万人以上を対象にしたタミフルと突然死に関する大規模調査でも関連は見いだされないとする報告も提出された。
血液脳関門が未熟な若いラットを使った実験の結果が出揃ったところで、年内にも結論を下したいとしている。
事件が問題化して以降の添付文書には、インフルエンザ脳症等によっても異常行動が起こる旨、記載されている。
発生率の低さから鑑みて、異常行動は添付文書にあるように、インフルエンザ脳炎・脳症によるものだろうとする意見がネット上でも多く見られる。