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がん
辞書:科学用語の基礎知識 医学・情報編 (BMEDI)
読み:がん
外語:cancer
品詞:名詞

遺伝子病気の一つで、悪性の腫瘍により体が蝕まれるもの。

目次
概要
呼称

がんは全ての臓器や組織に発生するが、その由来により呼び方が異なる。

大きくは、次の三つに分けられる。

「がん」と「癌」

漢字の「癌」と、仮名の「がん」(または「ガン」)では意味が違う。

「癌」は上皮細胞の悪性腫瘍のみを指し、それ以外も含めた広い意味ではかなで「がん」と書くことになっている。

英語では、表皮細胞の癌をcarcinoma、広義のがんをcancerという。

なお、「癌」という漢字は宋の頃に作られた支那医学の字とされており、元々今の意味で使われていたわけではない。

病状

病気としてのがんには、次のような病状がある。

直接的な病状

例えば胃がんができ、それが広がると食欲不振や嘔吐を生じる。やがて後腹膜に湿潤すると強い疼痛を来す。がんから出血すると貧血やショックなどをおこす。

肝臓へ転移すると黄疸や肝不全を、腹腔や腹膜へ転移すれば腹水や胸水貯留などを来し、胸水は呼吸を圧迫する。

こうした症状の全てが、がんの引き起こす病的症状、すなわち病気としてのがんである。

間接的な病状

がん細胞がホルモン様物質やサイトカイン、その他の物質を分泌して電解質異常や出血傾向悪液質などの症状を引き起こしたりすることも、病気としてのがんである。

さらに、がん治療による様々な副作用もまた、病気としてのがんの姿の一つといえる。

特徴
増加傾向

20世紀中盤頃から、心疾患、脳血管障害が徐々に減っていく中で、がんによる死亡は急激に伸びてきた。

なお、「がん」には二つの意味があり、一つはがん細胞からなる悪性腫瘍、もう一つは、その悪性腫瘍によって生ずる様々な病状の総称である。

先天後天

「がん」には先天性のものと後天性のものがある。

多くの「がん」は後天性だが、遺伝子異常に伴う先天性疾患もある。このようなものは小児のうちから「がん」が発生するため、「小児がん」と呼ばれ区別される。

以降は、後天性のものを説明する。

病因等
細胞活動

細胞は、遺伝子の命令によって増殖し生命活動を営んでいる。

しかし遺伝子変化が積み重なり細胞が「がん化」してしまうと、細胞はひたすら増殖するようになり腫瘍を作り、やがて正常な細胞の生命活動を阻害する。

このような状態の遺伝子を「がん遺伝子」といい、がん遺伝子を持った細胞を「がん細胞」という。

臓器に「がん」ができれば臓器は機能不全となり生物は死に致る。また血液やリンパが「がん」になれば免疫機能が失われたり血液凝固機能が失われ、やはり死に致る。

病気の原因

後天性の「がん」の発生原因は幾つかあるが、老化と生活習慣が主たるものと考えられている。医学が発達し人間の寿命は延びてきたが、これにより老化に伴う「がん」が顕著になったものと見られる。

心臓などの臓器は全て健康で、これが死因にならないと想定すると、人は必ず「がん」で死ぬことになる。細胞のがん化は、避けて通れない道である。

罹った「がん」を癒すのは時に困難であるため、予防と定期健診が必要とされている。

例えば、肺がんの最も大きな原因は「煙草」で、煙草を吸わなければ少なくとも3割、実際にはそれ以上の肺がん患者を減らせると言われる。

イギリスのドル博士らがまとめた結果によると、全てのがんの発生の原因は、食事が35%、喫煙30%、慢性感染病10%、などとなり、この三つだけで全てのがんの2/3は説明できる。

食事は疑わしいものが多すぎて手が打ちにくいが、禁煙はすぐにでも実行できる。10年禁煙でがん罹患率半減という研究結果もあり、禁煙に勝るがん予防はないといえる。

病態
がんの名前

がんの種類は、概ね、どこの臓器に出来た「がん」かにより命名される。

昔は、がんが転移してその先が原因で死亡した場合は、その先を死因とすることもあったが、現在はがんの転移部位は原死因とはしない。

肝臓に出来たがんなら「肝臓がん」、略して「肝がん」と呼ばれる。

そして、これが他の臓器に転移し、例えば肺で増殖したとしても、それは肺がんではなく肝臓がんであり、「肝臓がんが肺に転移した」と呼ばれる。

がんの種類

具体的には、次のようながんがよくある。

病期

がんは、治療方針を決めるために、進み具合を病期(ステージ)という指標で表わす。大きくステージI、II、III、IVの4期に分ける。I/II/III期はA/Bに細分化され、また肺がんの場合のみ0期を設定する。

例えば肺がんの場合、次のように区別する。

治りやすさ

同じ「がん」にも、治りやすいものと治りにくいもの(難治がん)がある。

治療開始から5年後に生きているかどうかを「5年生存率」というが、がんのできた臓器や、その進行具合などにより、生存率は様々である。

治りやすいがんであっても、発見が遅く進行したがんは、やはり治らない。

肺、食道、肝臓などは予後が極めて悪い難治がんであり、昔から癒りにくいがんとして恐れられている。

現在でも、難治がんの5年生存率は1割程度である。特に肺がんは治りにくく、ステージIVまで至った場合、5年生存率は「0%」として知られている。万一発見されても、この段階になると手遅れとして外科手術は諦めることが多い。

治療

早期のがんは、外科的に切除手術をするのが一般的である。全身の検査をし、他の部位に転移が無い場合に、切除手術がなされる。

進行してIV期になり手術で切除できない範囲(特に骨や脳などへの遠隔転移)に及んだ場合は、抗がん剤での治療を中心とし、手術の適用にはならない。

但し、IV期に至った場合はもはや治らず、あとは死を待つのみとなる。最も予後が悪い肺がんIV期の場合、1年生存率は10%程度、5年生存率は上述のとおり0%である。

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