メチシリン耐性黄色ブドウ球菌。日本ではなぜか「マーサ」とも呼ばれる。
β-ラクタム剤は細菌のPBP(ペニシリン結合蛋白質)を標的にし、細胞の細胞壁の合成を阻害する事で死に至らしめる働きがある。
しかしMRSAは他の菌からβ-ラクタム剤が結合しにくいPBP2'と呼ばれる細胞壁合成酵素を作る遺伝子mecAを導入してPBPと置き換えた、一風変わった黄色ブドウ球菌である。
抗生物質が殆ど効かないため、病院などを中心に蔓延することとなった。
菌は1961(昭和36)年にイギリスで臨床分離された前後より世界中に広がり、現在ではMRSAの検出されない国はない。
日本では1980(昭和55)年初期から全国に蔓延し、院内感染菌の代表となった。現在、MRSA感染の治療にはバンコマイシンが主に使われる。
MRSAは単一ではなく、複数のクローンが存在し、国により異なる。
また日本国内に限定しても、1980年代のMRSAと1990年代のMRSAとでは遺伝型が異なっている。これは、国や時代による抗菌剤の使われ方の違いによって、より強い菌が選択されるためと考えられている。