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超新星
辞書:科学用語の基礎知識 天文学天体用語編 (USTLY)
読み:ちょうしんせい
外語:supernova
品詞:名詞

超新星爆発によって大幅に輝度を増したことで、地球から観測できるようになった天体恒星の最後の姿である。激変星の一種。

目次
概要
現象

爆発の結果、20等級以上の明るさで増光する星は、その後徐々に暗くなる。爆発中のスペクトルは非常に広い放射帯域の存在によって特徴付けられ、その幅は新星のスペクトル観測での明るい帯域幅よりも数倍大きい。

爆発後、星の形状は完全に変化する。

拡大する輝線星雲が生じ、(常に観測できるとは限らないが)パルサーが元の星の位置に残る。光度曲線の形状とスペクトルの特徴で、後述するようにI型超新星II型超新星に大別される。

頻度

超新星の発生頻度は一つの銀河で50から100年に一回程度で、銀河系では1604(慶長9)年に観測されて以来観測されていない、比較的まれな現象とされている。

ただ宇宙全体で考えると1秒に1回程度の頻度で発生していると考えられている。

超新星には様々な種類があるが、元の天体の質量が太陽の30倍を優に超えるようなものの場合、通常の超新星の数十倍のエネルギーを持った「極超新星」となることがある。

新しい星

新星と同様に超新星も、それまで観測できなかった星が突如明るく輝き出す現象から、かつては新しい星が生まれる現象と考えられた。

1572(元亀3)年にティコ・ブラーエが超新星SN 1572を観測し、ラテン語でde stella nova(新しい星について)と題する本を出版したことがnovaという呼び方の始まりである。

しかし実際は新しく生まれた星ではなく、現在では星が終焉を迎える際の爆発現象であると考えられている。

分類
Zwicky分類

現在、超新星の分類としては、主に光度曲線やスペクトルによって分類されるZwicky分類が一般的である。

この分類方法ではI型II型がある。水素の吸収線スペクトルが無いものをI型、あるものをII型とする。

Ia型は連星系を作る白色矮星に隣の星からのガスが降着して重くなり、やがてチャンドラセカール限界を超えて爆発するもので、白色矮星の熱核暴走反応型の超新星である。

Ib型、Ic型とII型は重い星が進化の最終段階になり、鉄の核ができて爆縮する際に外側が吹き飛ぶもので、重力崩壊型の超新星である。

Zwicky分類には、III型、IV型、V型も提唱されたが、III型/IV型はII型の変種であり、V型は高光度青色変光星(LBV)と判明し、現在では用いられていない。

スペクトルでの分類

元素の吸収線スペクトルの有無または強弱で分類ができる。

特徴
大質量星

青い星は一般に重く、小さな星で太陽の数倍、大きなものは太陽の100倍もの質量となり、激しく燃えて短い時間でその生涯を終える。

青色超巨星では、中心部で大爆発が起こると、星の表面は明るく輝き始め、内部の物質が吹き出して行き、超新星爆発する。

一方、青くない大質量の恒星は赤くなり膨らみ(赤色巨星)、やがて超新星爆発する。

太陽

それに対して、太陽のように小さくて黄色い恒星は、超新星爆発をしない。

このような恒星は寿命が長く、100億年もの間輝き続け、最後は赤くなって膨らみ(赤色巨星)、そしてそのまま周囲に大量のガスを放出して中心に白色矮星を残し一生を終える。

星の跡

超新星爆発にしろ太陽のような星にしろ、星の死後は星を作っていた物質がチリやガスとなって宇宙空間に撒かれる。

それらはやがて再び集まり、新しい星の材料となる。太陽も、今から46億年前、幾つかの超新星の爆発によって宇宙空間にまき散らされたチリやガスを集めて生まれたと考えられている。地球も、ほぼ同じ頃、チリやガスを集めて誕生したのである。

超新星の命名

超新星は彗星などと違い、発見しても特別な固有名詞が与えられることはない。

しかし彗星は組織的な調査が始まり、個人で新発見できる時代ではなくなったことから、個人天文ファンの間では代わりに超新星の探査がブームになっている。

超新星は学術的には「SN 年 番号」という認識符号で呼ばれ、年は西暦4桁、番号はその年の1番目から順にA、B、C…Z、aa、ab…az、ba、bb…bz、……zz、aaa、aab…aaz、aba…となる。つまりその年1番目は「A」、10番目なら「J」、26番目なら「Z」、27番目なら「aa」、のようになり、「zz」は702番目である(26×26+26=702)。その次の703番目は「aaa」と3文字になる(1×262+1×26+1=703)。

1987(昭和62)年までは2文字が必要になることはなかったが1988(昭和63)年以降は毎年必要となっているほか、超新星の大規模サーベイ観測が始まって以降の2016(平成28)年以降は毎年3桁も使われるようになっている。

また「SN」とはsupernova(超新星)の略であるので、日本語ではそのまま「超新星 1987A」のように書くこともある。

超新星観測の意義

超新星観測は、宇宙の膨張速度の変化を調べるのに有意義である。

現在はプロの天文学者らが組織的に超遠距離の超新星大規模サーベイを行なっている。なぜ遠距離なのかというと、プロの場合は結果を求められるためである。超新星はいつどこで発生するかわからない。従って、遠方の銀河の群れを撮影して、一気に大量の超新星を探す、という戦略を取っている。この都合から天の川方向は殆どなく、天の赤道周辺に偏った観測となっている。近距離の超新星のデータも必要だが、大規模サーベイでは発見が困難である。

一方で、アマチュア天文家らも趣味で超新星探査を行なっている。アマチュアなので結果は求められない。余暇を使い、宇宙のあらゆる方向から、しかも小さな望遠鏡なので近傍の銀河のみから、超新星の偶然な発見を続けている。

かくして、プロとアマチュアは互いに住み分けながら超新星探査をし、宇宙の謎に迫り続けている。

現時点では、銀河系内の超新星として最後に発見されたのは1604(慶長9)年のSN 1604である。そう遠くない将来、ベテルギウスが超新星爆発を起こし、次(あるいは次以降)に銀河系内で観測される超新星になるとして有力視されている。

一覧
主な超新星

超新星は毎年数百個が発見されているため全てを挙げることは不可能だが、有名なものをいくつか紹介する。

超新星爆発間近の恒星

参考までに、(天文学的感覚で)爆発間近な恒星の例。

リンク
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激変星
関連する用語
超新星爆発
極超新星
超新星残骸
超高輝度超新星
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