現在考えられている、あらゆる天体を包む時空(時間と空間)のこと。
宇宙の年齢は天文学でも重要な研究課題であり、様々な方法で求める努力がされている。
詳細は下記するが、現時点では約137億歳とするのが最も正確だろうとされている。
原理的に、宇宙の年齢×光速度を超える範囲を観測することはできない。光速度は有限だからである。また、現在の観測技術では「宇宙の晴れ上がり」より前を見ることは出来ないので、観測できる範囲は宇宙の年齢×光速度よりも少し狭い範囲となる。
こうして原理的に観測可能な範囲の限界を「粒子的地平面」といい、地球からの距離は約470億光年である。この距離を「共動距離」(comoving distance)という。粒子的地平面は現在、光速の約3.5倍の速度で、地球より遠ざかっており、つまり宇宙は膨張している。
実際に粒子的地平面が観測できた場合、見えるのは宇宙が晴れ上がったときの姿であり、具体的には温度3K(−270℃)のマイクロ波であると考えられている。但し現在は粒子的地平面は観測できておらず、観測された最遠の銀河でも、粒子的地平面より遥かに手前である。
光が旅した時間に光速度を掛けたものは「光年距離」(light years distance)と呼ばれる。光年距離では、光(電磁波)により観測される宇宙の大きさは半径約137億光年である。
この宇宙の端より、星の光が地球に届いたと仮定した時、これをもって「この光は約137億年前の星の姿」というのは正しいが、「この星はいま約137億光年彼方にある」というのは間違いである。
なぜなら、後述するが、宇宙は膨張しているからである。光が放たれてから地球に到達するまで、光が進まねばならぬ距離はどんどん伸び、その放たれた場所も遠ざかってゆくため、その光が観測された時点での実際の距離である共動距離とはずれるからである。
現在の地球と、この光が発せられた場所までの、137億年前(宇宙の晴れ上がり直後)の互いの距離は、宇宙の膨張速度が今と同様であった場合、約4000万光年であると逆算される。
光速度を超えて膨張する宇宙全体の広さは、光速で観測可能な範囲より遥かに広い。
しかし、その実際の広さを観測することは不可能であり、宇宙の広さは有限であるのか、あるいは無限であるのかさえ、分かってはいない。
宇宙は膨張を続けている。
1915(大正4)年、アインシュタインによって一般相対性理論が発表された。ここで示された重力場方程式(アインシュタイン方程式)は、時間の経過と共に宇宙は膨張または収縮することが示されていた。
しかし当時、アインシュタイン自身は宇宙は定常であると考えていたため、この方程式の解に定数の宇宙項(宇宙定数)を加えることを提案した。
1929(昭和4)年、エドウィン・ハッブルによって遠方銀河のスペクトルが調査され、充分に遠方にある銀河は全て銀河系から遠ざかっており、その速度は銀河までの距離とほぼ比例していることが発見された。これは「ハッブルの法則」と呼ばれている。
ハッブルの発見により天体観測学的に膨張宇宙の事実が見出され、もってアインシュタインも宇宙項が誤りであることを認めざるを得なくなった。
ハッブルの法則から、宇宙の膨張が見出される。そうであれば、もし時を遡れば過去のある時、宇宙の全ては一点に集まっていたことになる。
かくして、非常に小さな高温・高密度の一点から宇宙は始まり、それが大爆発を起こしたとする「ビッグバン・モデル」が、1946(昭和21)年頃にジョージ・ガモフによって提案された。これがビッグバン宇宙論である。
1965(昭和40)年、ベル研究所のアルノ・アレン・ペンジアスとロバート・ウッドルー・ウィルソンらにより、宇宙のあらゆる方向から温度3K(−270℃)の黒体放射に相当するマイクロ波が放射されている「宇宙背景放射」が発見された。これは宇宙の膨張の証拠であるとされ、もってビッグバン宇宙論は信じられるようになった。
その後、様々な観測事実により初期のビッグバン宇宙論では説明しきれない問題が出てきたため、新たにインフレーション宇宙論が提案され、今に至っている。
なぜ宇宙は膨張を始めたのかは、はっきりとは分かっていないが、様々な案が出されている。例えば理論物理学の「場の量子論」のアプローチでは、初期の宇宙は「真空のエネルギー」で満ちており、これが斥力となって宇宙は膨張を始めた、としている。
宇宙に天体がどれだけ存在するのか、それは定かではない。なぜなら、観測可能な範囲の外側にも宇宙があり、実際の宇宙の広さが分からない以上、概数さえ示すことはできないからである。
我々の太陽系のある銀河系だけでも2000億個以上の恒星があると考えられている。
そして宇宙全体では銀河系規模の銀河が1000億以上あると考えられているようである(根拠は不明)。
大雑把な計算では、宇宙全体の恒星は2000億×1000億=200垓個、となる。「星の数ほど」と言う比喩表現があるが、その雰囲気を壊さないだけの規模がある。
ただし、地表から肉眼で「星」として認識できるのは、空が比較的暗い場合でも6等星程度までといわれる。従って、人間が直接見ることのできる恒星は全天で6000〜7000個程度、実際に地平線上に見える星の数となると最大でも4000個程度に過ぎない。
膨張を続ける宇宙が、いずれどのような末期を遂げるのかは、一般相対性理論の重力場方程式(アインシュタイン方程式)の解として、幾つかが示される。
重力場は空間の曲率で記述されるが、一般相対性理論は空間の曲率が正、0、負のいずれの宇宙も許容している。各曲率で、宇宙は次のように呼ばれる。
開いた宇宙か平坦な宇宙ならば、宇宙は永久に膨張を続ける。閉じた宇宙であればいずれ膨張は収縮に転じ、再び大きさが0へと潰れてゆくビッグクランチを起こす。かくして、この宇宙は三種類のどの宇宙であるかの研究が始まった。
2003(平成15)年にNASAが発表したマイクロ波非等方性探査衛星WMAPによる観測結果では、この宇宙の時空は平坦で、永久に膨張を続ける、ということが示されている。
宇宙は灼熱から始まり、膨張して今に至るが、それは膨張した分だけ冷却されるという歴史でもある。現在の宇宙背景放射は温度3K(−270℃)であるが、今後は更に冷え、最後は絶対零度にまで冷却されると考えられている。
現在でこそ宇宙には星の数ほど恒星があり銀河があるが、膨張が続けば物質は希薄になり、こういった天体も形作れなくなる。従って、将来的には、宇宙には天体がなくなると考えられている。