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小惑星 |
辞書:科学用語の基礎知識 天文学天体用語編 (USTLY) |
読み:しょうわくせい |
外語:Asteroid |
品詞:名詞 |
太陽系を巡る、岩石質の小さな天体のこと。但し歴史的経緯から、いわゆる彗星は除く。
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概要 |
太陽系小天体のうち岩石を主成分とするもので、彗星の条件となる拡散成分(コマおよび彗星の尾)がないもの。
また、元々は彗星だったが、揮発性成分を失うなどしてその反応をしなくなり見た目は小惑星と変わらなくなったものは「彗星・小惑星遷移天体」と呼ばれる。
太陽系小天体全体の総数は、2019(平成31)年5月現在、軌道が確定し小惑星番号が付いたものだけで541,128個あるが、うち固有名詞(名前)が付けられたものはうち4%である21,922個にすぎない。
歴史 |
発見 |
小惑星発見前、ティティウスが発見しボーデが説明を附して発表したことで広まった、太陽系においては惑星からの距離は単純な数列で表現できるとする法則「ティティウス・ボーデの法則」があった。この法則は、1871(明治4)年にハーシェルが発見した天王星までほぼ一致した。
これ以降、当時まだ未発見だった火星と木星の間にも未知の惑星があるはずだとして探査が始まり、結果1801(享和元)年に見つかったのが小惑星「ケレス」であった。
この当時は新惑星発見と沸き立ったが、翌1802(享和2)年にパラス、1804(文化元)年にジュノー、1807(文化4)年にベスタと、同じような軌道位置から次々と天体が発見された。
今でこそ数十万個もの小惑星が発見されているが、この当時はそれほど数が多いとは思われていなかったため惑星と同様に扱われ、当時は名前も惑星と同様に神話の神様から付けられていた。しかし発見数が増えると、徐々に惑星とは区別されるようになり、名前のネタ切れもあって、やがて小惑星番号を付ける運用に変わっていった。若干前後するものはあるが、当初の小惑星番号は概ね発見順に付番されていた。この番号も、20世紀に入り発見数が膨大な数になると発見順の付番が難しくなり、登録順の番号へと変わっている。特に「キリ番」は、重要な天体(クワーオワーなど)に付番したり、また固有名詞も天文学上重要な人名・団体名などから命名されることが多い。
小惑星の数 |
IAUが発行する小惑星回報(MPC)によると、軌道が確定した小惑星は、概ね次のような変遷を遂げている。なお、ここでいう小惑星とはminor planet、つまり現在の太陽系小天体をいい、準惑星など小惑星に分類されない天体も含まれている。
この数は研究が進めばさらに増えると思われる。
新たな枠組み |
ケレス発見以降、膨大な数の小天体が発見されるようになり、こういった天体の分類について、改めて整理することになった。
2006(平成18)年にはそれまで惑星とされていた冥王星や、最初に発見された小惑星ケレス、そして一時は第十惑星と目されていたエリスなどを新たな分類の準惑星とし、また幾つかの小惑星についても将来的に準惑星に変更される可能性があるとされた。実際、マケマケやハウメアが準惑星に変更されている。
そしてこの時に、小惑星は太陽系外縁天体(TNO)や彗星、他の小天体とともに、太陽系小天体(SSBO)というカテゴリーに分類されることになった。
英語では次の二種類の概念があった(過去形)が、日本語では両方とも「小惑星」と訳されてしまっていた。
minor planetは元々は、惑星や衛星以外の、太陽系を巡る小さな天体を表わす総称であった。
Asteroidは岩石質の小天体を意味し、狭い意味での小惑星を表わす。
2006(平成18)年8月24日のIAU(国際天文学連合)により、太陽系天体の明確な枠組みが議決された。
これに伴い、このうち用語minor planetは廃止され、small solar system bodies(SSSB、太陽系小天体)が定義された。
両方ともを「小惑星」と訳してしまったことが大混乱の元であったが、日本名も整理された。
small solar system bodiesについては太陽系小天体となった。
Asteroidに対応する訳語というものは特別に発表された形跡が無いが、何事もなく小惑星という語が使用されているため、これによりAsteroid=小惑星、という対応が規定されたものと考えられる。
分類 |
スペクトルによる分類 |
小惑星は、そのスペクトルにより大きく3種類に分けられる。
これらに属さない特殊な小惑星も発見されている。
軌道による分類 |
その軌道などから、次のように分類される。細分化については、類似の軌道要素を持つものについて小惑星族として分類している。
軌道要素によっては、一つの小惑星が複数のグループに分類されることも珍しくない。
小惑星番号と名称 |
付番と命名 |
小惑星は発見してすぐは、"1994 NT1" のような仮符号が付けられ、軌道が定まった時点で正式な小惑星番号が付き、学術的にはこの小惑星番号が使われることになっている。
また、固有名詞(星の名前)は発見者のみが、ほぼ自由に命名できる(但し自分の名前以外)。歴史上の人物、地名、神話に登場する名などのほか、発見者の関係している人物(奥さんや上司、部下など)の名前を取ることが多いようで、現役宇宙飛行士の名前などもある。ただし人物名については、政治家の名前については没後100年を経過しないと使用できないことになっている。
しかし小惑星はあまりにも数が多いため発見者もネタ切れに苦しんでおり、名前が付いていないものも多く、小惑星番号が付いている小惑星のうち名前もついているものは4%に過ぎない。
仮符号 |
小惑星の発見数は多いため、年、月の前後半とその中で一意になる記号で名前が付けられる。
小惑星番号の早見表(連番→後の英数字変換表)
上桁 | 下一桁 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |
0 | A | B | C | D | E | F | G | H | J | |
1 | K | L | M | N | O | P | Q | R | S | T |
2 | U | V | W | X | Y | Z | A1 | B1 | C1 | D1 |
3 | E1 | F1 | G1 | H1 | J1 | K1 | L1 | M1 | N1 | O1 |
4 | P1 | Q1 | R1 | S1 | T1 | U1 | V1 | W1 | X1 | Y1 |
5 | Z1 | A2 | B2 | C2 | D2 | E2 | F2 | G2 | H2 | J2 |
6 | K2 | L2 | M2 | N2 | O2 | P2 | Q2 | R2 | S2 | T2 |
7 | U2 | V2 | W2 | X2 | Y2 | Z2 | A3 | B3 | C3 | D3 |
8 | E3 | F3 | G3 | H3 | J3 | K3 | L3 | M3 | N3 | O3 |
9 | P3 | Q3 | R3 | S3 | T3 | U3 | V3 | W3 | X3 | Y3 |
10 | Z3 | A4 | B4 | C4 | D4 | E4 | F4 | G4 | H4 | J4 |
小惑星番号 |
小惑星番号も、キリ番やぞろ目などは特別に扱われている。また語呂合わせなどから天体名が付けられているものもある。
上と一部重複するが、言葉遊びであったり、特別な意味を持つ番号から名前を借用したりするものが多い。
名前の例 |
歴史上の天文学者や物理学者の名前も多数見られる。
発見者の地名、天文台等のある場所なども見られる(後述)。
生物学分野でも幾つかの命名が見られる。
また、上記まりもの住む阿寒湖もAkan(北海道の阿寒国立公園)として存在する。
神話関係では、ギリシャ神話やローマ神話が優勢であるが、日本神話からも幾つか名前が付いている。
日本神話の神々が住む天上の国、高天原はお星さまだった。
LinuxやGNUなど、コンピューターやIT業界からの命名もいくつかある。
まんが家、アニメ監督、歌手など、様々な分野から名前が付けられている。
政治家や反幕府軍事組織など、様々なものが登録されている。
前述した天文分野の地名以外にも、様々なものが登録されている。
リンク |
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