対植物・家畜用生物兵器

読み:たいしょくぶつ・かちくようせいぶつへいき
品詞:名詞

生物兵器をそのターゲットの種類によって分類したときのタイプの一つ。

対人用生物兵器(殺傷型生物兵器)の場合、前線で敵兵を倒すという戦術的使用法やあるいは後方の敵の都市で厭戦気分を出したり、都市機能を麻痺させるという戦略的使用法が考えられるが、対植物用生物兵器や対家畜用生物兵器はより次元の高い戦略的な使用法で用いられる。食糧になる植物や動物に疫病を流行らせるというすなわち食糧攻めを行なうのである。今まで実際に対家畜・植物用兵器が使用されたことは少なくともその事実が表に出たことはないが、第二次世界大戦中、イギリスは炭疽菌をドイツ国内の牧場に散布することでドイツの食肉生産体制を崩潰させようとしたし、アメリカも1946(昭和21)年まで戦争が続いていれば、稲いもち病菌や稲ゴマ葉枯病菌を散布することで日本の稲作の約40%に打撃を与える予定であった。戦後だと1960年代後半(昭和40年代前半)には麦類の赤さび病を引き起こす赤さび病菌を約3万トン保有していたし、近年ではイラクが小麦の黒穂病爆弾を製造していた。

しかし、対植物・家畜用兵器は短期間で終わってしまう現代戦には通用しない。現在田畑や牧場にある植物・家畜が人の口に入るのは通常時でも大分先のことである上に、戦時ともなれば国家は食糧の供給になんらかの統制を加えることも出来るし、それまで蓄えていた備蓄分を使用することも出来るので、効果が出てくるのは最低でも1年以上先であるからである。

一方、バイオテロとして使用するという観点になると大分状況は変わってくる。バイオテロの場合、期限は存在しない。最終的に甚大な被害を与えればいいのである。疫病により食糧生産に打撃を与えることが出来れば、その国の経済に打撃を与えることが出来る。国は生産業者や流通業者に補助金を出し、疫病処理にも経費を計上する必要がある。また、精神的な効果も大きい。疫病が広がっているというだけで人々はパニックに陥るであろうし、さらにそれがテロリストによって人為的に引き起こされたということが分かったときにはその度合いは増すだろう。加えて、政府が適切な対応をしなかった場合には不満の矛先は政府へと向かい、国内秩序は揺らぐかもしれない。これこそテロリストの狙うところである。

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