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マストドン

辞書:電算用語の基礎知識 サーバー編 (PNSVR)
読み:ますとどん
外語:Mastodon 英語
品詞:商品名
2017/09/06 作成
2018/06/22 更新

オープンソースによる、Twitterに似たインスタントメッセンジャーマイクロブログサービスを提供する実装の一つで、ソーシャルネットワークを実現する手段の一つ。

Twitterの後継」を、オープンソースかつ分散型として実現させようとする実装である。

プロトコルは、W3C勧告のオープン標準、OStatusActivityPubを採用している。

これにより、特定の運営に独裁され恣意的な運用をされることがなく、(法を犯さない範囲で)自由な言論を実現できる。また邪魔な広告もなく、クライアントアプリも誰でも自由に作ることができるため、様々なクライアントが存在する。

自分でインスタンスを用意するなら、botの運用も自由である。

良さ

他のSNSの失敗から学び、SNSが誤った使われ方をされることがないような設計が目指されている。

  • 強権的な管理者による理不尽な扱いを受けにくい (Twitter最大の問題である、ルールの強制的な押しつけがない)
  • 電話番号は不要 (Twitterのように、しつこく電話番号などを要求したりしない)
  • 広告が無い (改造されたインスタンスは例外だが、殆どないだろう)
  • ユーザーは商品ではない (Twitterのように利用者のデータ収集・解析をして広告主に売ったりしない)
  • システム都合による理不尽な制限がない (名前に✅や🔒なども普通に使える)
  • ローカルタイムラインの存在により、同じインスタンス内の人とフリーチャットができる (閉塞感が無い)
  • クライアントは自由に作れるため、使いやすいアプリが揃っている (Twitterは非公式アプリを規制している)

用語

  • トゥート ‐ 投稿(吠える、吠え声の意) (Twitterでいうツイートに相当)
  • ブースト ‐ 他者の投稿を再投稿する機能 (Twitterでいうリツイートに相当)
  • ホーム ‐ 自分のタイムライン (Twitterでいうタイムラインに相当)
  • ローカルタイムライン ‐ そのインスタンスの全ての単独投稿(リプライは除外)が流れるもの。LTLとも略される
  • 連合タイムライン ‐ LTLに加え、リモートフォローによって得た外部インスタンスのトゥートを加えた投稿が流れるもの

投稿

トゥート

Twitterの場合は「ツイート」(ぶつやき)であるが、マストドンの場合は「トゥート」(吠える)で投稿する。

これは、Twitterのマスコットが鳥であるのに対して、マストドンは象やマンモスに似た古代生物マストドンなためと思われる。

返信

ある人の「吠え」に対して、「吠え」で返信することも出来る。

返信する元の「吠え」を指定して操作するか、相手のプロフィールからも送信できる。画面上には、原則として元発言者のユーザー名が、自インスタンス内であれば「@username」の形式で、他インスタンス内であれば「@username@servername」の形式で表示される。

返信は、ローカルタイムラインにも連合タイムラインにも表示されない。

公開範囲

マストドンにもTwitterと同様にダイレクトメッセージ機能があり、他にもトゥートごとに細かく設定ができるようになっている。

種類機能範囲
連合TLローカルTL非フォロワーフォロワー指定アカ
公開誰でも閲覧可能
未収載誰でも閲覧可能、TLには流れない××
非公開フォロワーのみ閲覧可能×××
ダイレクト指定ユーザーのみ閲覧可能××××

これを著している時点では、ローカルTLに限定したトゥートをする機能は公式には実装されていない(改造されたインスタンスでは可能なことがある)。

ダイレクトメールは独立した機能ではなく「相手にしか見えないリプライ」という構造で実現されている。従ってセキュアではないので、利用には注意が必要である。

分散型SNS

インスタンス

マストドンが実際に動作するWebサーバーを「インスタンス」という。

インスタンスは幾つあってもよい。インスタンス間を相互に通信プロトコルで繋ぐことで、異なるインスタンス間での通信を可能としている。これが「分散型SNS」である。

マストドンを使いたい人は、自分が気に入ったインスタンスに入会し、アカウントを作って使うことになる。

インスタンス間通信

単にトゥートするだけでは、それはそのインスタンスにしか流れない。しかし、リモートフォローなど特定の条件を満たすと、そのトゥートは他のインスタンスにも転送される。この手法によってインスタンス間での交信が可能となる。

こうして、そのインスタンス内でのタイムラインは「ローカルライムライン」、リモートフォローなどによって他のインスタンスから受信したトゥートも込みのタイムラインは「連合タイムライン」として、分けて表示されている。

どのインスタンスを使うか

別に何ヶ所のインスタンスに登録しても良く、用途に応じて分けるのが理想的である。

あまりアカウントを増やさずやりたいという場合は、どこか一つないし少数に絞る必要が出てくる。

日本での主流インスタンスは3ヶ所程度なので、賑やかに活動したいのであれば人が多いインスタンスを選ぶのが良い。

結局のところ、どのインスタンスを使うか悩むというのが、マストドンにおける一番の問題であると言え、これをどのように解消するかが今後の課題だろう。

インスタンスによって住人は違うので、自分の肌にあったところを使えば良い。但し、事前にタイムラインを確認できないインスタンスの方が多い。

主なインスタンス

インスタンスの一覧をまとめているWebサイトは幾つかある。

日本のインスタンスは

などが情報が多い。

インスタンスは膨大な数あるため、信頼でき、趣味に合うものを任意に選択すればよい。

  • mstdn.jp (通称jp)

    日本を代表するマストドンのインスタンスである。オールジャンル。

    たまたまドメインが取れた(当時)大学院生のぬるかる氏が開設。そのまま日本を代表するインスタンスとなり参加者急増、このため単に「jp」と呼ばれるほどに日本を代表するインスタンスとなった。

    マストドン初心者で、最初に使うインスタンスに迷ったなら、とりあえずここを使えばよい。

    このインスタンスは、Twitter(の特に政治的な争い)にうんざりしていたり、Twitterのコモディティー化で「FF外から失礼します」に代表される面倒なしきたりの増加などにうんざりしていた層が率先して移動した。このため当初はTwitter初期の雰囲気に近く、「Twitter老人会」と言われることもあった。

    開設当初は無意味に「膣」と連呼するアカウントが多かったが、現在はほぼ鎮静化している。

    これを著している現在は、ローカルタイムラインを使っての雑談が活況である。

  • friends.nico (ニコニコ動画/ドワンゴ公式)

    ニコニコ動画のノリで使うことができるインスタンスである。オールジャンル。

    ドワンゴスタッフの思いつきで開設された。friendsなのは、当時人気爆発していたけものフレンズにあやかっている。

    mstdn.jpの開設者ぬるかる氏がドワンゴに入社したことで図らずもドワンゴは二つのインスタンスを持つことになってしまったが、両方ともそのまま維持されている。

    friends.nicoなのでそのまま略せばフレニコだが、通称は「ニコフレ」である。

    100人以上が参加したりする公式オフが開催されることもある。

  • mastodon.social (本家)

    本家ドイツのインスタンス。作者のオイゲン・ロチコ氏はここにいる。オールジャンル。

    日本人は殆どいない。英語の人が多いが、ペルシャ語も時折見られる。

  • mastodon.art

    海外のアート専門インスタンス。

    これを著している時点では招待制となっており、既存の利用者からの招待がないと入会できない。

    写真やカートゥーン風のイラストが多いが、基本は雑談でオールジャンルとも言える。

    ほぼ英語。日本人は少ない。

  • open2.ch (おーぷん2ちゃんねる公式)

    おーぷん2ちゃんねるのインスタンスである。

    管理人さとるの気まぐれで作られたが、そのまま気まぐれで放置プレイになっている。過疎だが2ちゃんねるらしい雑談で花が咲いている。

プロトコル

マストドンは、StatusNetからGNU socialへ続くオープンソースSNSの流れを汲んでいる。

バージョン1.5までのプロトコルはGNU social(旧StatusNet)と同じOStatus、バージョン1.6以降は新プロトコルActivityPubが採用された。これらはともにW3C勧告であり、仕様が公開されている。また文字の符号化にUTF-8を用いているため言語の縛りもない。

投稿は各インスタンスごとのWebサイトからの他に、公開されたAPIを用いた様々なアプリケーションから可能となっている。

APIは、Twitterと同様にRESTが採用されており、OAuth 2.0で認証をする。

オープンソース

オープンソースなので改造も可能である。各インスタンスごとに、独自の色を出すことができる。そういったインスタンスを利用するかどうかは、その管理人の信頼性を確認する必要がある。

改造にも様々あるが、例えばLaTeXで数式を書けるmathtod.onlineのようなインスタンスがある。

マストドンのライセンスはAGPLなので、改造したインスタンスを運用する場合はその改造部分を公開せねばならないが、そのためこの改造が本家に取り込まれ仕様となったものもある。

バージョン

更新履歴はGithubのtootsuite/mastodon/releasesにある。

バグ修正以外の仕様変更点などを記載。

  • 2.4 ‐ プロフィールに新メタデータ追加、繋がりを隠す機能
    • 2.4.2 (2018(平成30)年6月19日)
    • 2.4.1 (2018(平成30)年6月11日) ‐ スパマー対策機能の強化、タイムラインを投稿とメディアで分割
    • 2.4.0 (2018(平成30)年5月23日)
  • 2.3 ‐ LDAP/CAS/SAMLの統合、自分のトゥートの検索機能、プロフィールのメディアギャラリー
  • 2.2 ‐ アクセスが遠のいたユーザーを呼び戻す機能
  • 2.1 ‐ ユーザー招待機能、フォロー外DMブロック機能、監査ログ機能
  • 2.0 ‐ ActivityPubプロトコルへの全面移行
  • 1.6 ‐ OStatusプロトコルからActivityPubプロトコルへの移行
  • 1.5 ‐ 管理機能の改良
  • 1.4 ‐ 普及期の改良版
    • 1.4.7 (2017(平成29)年7月1日)
    • 1.4.6 (2017(平成29)年6月24日)
    • 1.4.5 (2017(平成29)年6月23日) ‐ 1.4.4の修正によるパフォーマンス低下を修正
    • 1.4.4 (2017(平成29)年6月21日) ‐ トゥートの回転の禁止
    • 1.4.3 (2017(平成29)年6月15日)
    • 1.4.2 (2017(平成29)年6月15日)
    • 1.4.1 (2017(平成29)年5月28日) ‐ タイムラインの言語フィルター、プロフィールにメディアライブラリーを追加
  • 1.3
    • 1.3.3 (2017(平成29)年5月6日)
    • 1.3.2 (2017(平成29)年4月29日)
    • 1.3.1 (2017(平成29)年4月27日)
    • 1.3 (2017(平成29)年4月27日) ‐ IDN URL対応、GNU socialとの互換性向上、UTCから現地時間表示への変更
  • 1.2
    • 1.2.2 (2017(平成29)年4月19日) ‐ ユーザー数は、メール認証済みのアカウントのみカウントし表示するように
    • 1.2.1 (2017(平成29)年4月19日)
    • 1.2 (2017(平成29)年4月16日)
  • 1.1

技術的な欠点など

プロトコル

マストドンは、バージョン1.5まではOStatusというプロトコルを用いていた。これは、かつてのStatusNet(現在のGNU social)が提唱したマイクロブログの更新通知のためのプロトコルである。

GNU socialの前身であるStatusNetは2010(平成22)年より開発が始まったが、主流にはならなかった。マストドンはその主流になれなかった実装が用いたものと同じプロトコルを用いていたことになる。

マストドン1.6.0rc1からは、OStatusの後継である新しいプロトコルActivityPubが採用された。OStatusはバージョン2.0で廃止された。

この動きに対応するため、GNU socialもActivityPub採用が進められることになった。

Ruby on Railsという欠点

利用面での問題点は、StatusNetがPHP、マストドンはRuby on Railsで実装されており、このため運用にはWebサーバーの運用と同等レベル以上のスキルが必要となるため敷居が高い点である。

そうなると、誰かが運用しているサーバーを使わせて貰う、というTwitterと同様の手順に至ることになる。ここでの問題点は、そのサーバーの運用者が不正を働こうとすれば簡単にできるということである。例えば、その管理者はメールアドレスとパスワードのペアを大量に入手し、それで不正を働くことも簡単ということである。従って、身元不明サーバーのマストドンは絶対に使ってはならない。

分散型SNSという欠点

マストドンは分散型SNSであることが利点であり特徴だが、それ自体が欠点でもある。

分散型SNSは、中央集権がない代わりに、そのアカウントが本人である保証をする機関を作れない。つまり「なりすまし」が容易である。

技術的にこれが解決できるのかどうかは未知数である。

改善の方法

問題点を技術的に改善するのは非常に難しい。

遡ることマストドンから約10年、2003(平成15)年頃には既に、Winnyのネットワークを使ったWinnyBBSなどが試みられていた。データはP2Pメッシュネットワークに点在しているため力による検閲には強いという利点はあったが、弱点も多々あった。

Winnyに限らず、当時のP2Pメッシュネットワーク実装はどれも非公開のプロトコルとソフトウェア実装となっており、自由度が低く、このため普及もしなかったのである。

マストドンはオープンソースでありプロトコルも公開されているため、実装自体は第三者による改良も期待はできるものの、各インスタンス(ノード)の信頼性を担保することまではできず、持つ欠点はP2Pメッシュネットワーク実装の時代とあまり変わっていない。

作者

開発者はドイツ人のEugen Rochko(オイゲン・ロチコ)。

アカウントは@Gargron@mastodon.socialである。

大きな動き

  • 2017(平成29)年4月: 日本だけでいきなり流行
  • 2017(平成29)年10月: 初のメジャーバージョンアップ(2.0公開)

Twitterの問題

これまで、マイクロブログサービスはTwitterにほぼ一極集中していた。

それでもあまり困ることはなかったが、ただ、Twitter社の恣意的な運用、大反対を押し切ってのシステム改悪の強行、独自クライアントの規制、内容を確認もせずに機械的にアカウントの規制や凍結をする、その際に利用者が同じ別アカウントにまで規制を掛けるなど、運営とユーザーとの乖離は日に日に激しさを増していった。

なぜなら、ユーザーはFacebookではない世界を求めていたにもかかわらず、運営はFacebookになりたがっていたからである。理由は簡単で、Twitter運営はTwitter「なんか」は使っておらず、日々Facebookを使っているからである。

これでTwitterが良くなるはずはない。こうしてTwitterはどんどん劣化をしていった。

マストドンの普及

結果としてTwitterは大赤字のまま改善の見込みもなく、にもかかわらず利用者に敵意むき出しのような状況になると、泥船Twitterからの脱出先となる「代わり」も渇望されるようになってきた。

これまでは、Twitter社の一存によって投稿は容易に削除、改変、監視などの検閲を受けていた。これは代わりに別の会社が同様のサービスを始めたとしても状況は変わらない(検閲は受け続ける)ということを意味している。

これに対抗するには、利用者全員がサーバーを持ち、互いを連携すれば良い。しかし現在は、IPv4アドレスの枯渇、NATなどの技術的事情や、セキュリティ、および日本の法規制などにより、サーバーを設置することは難易度が高い。つまり、サーバー運用にはコストが掛かり、かつ高度なスキルが必要になる。

それでも、出来る人から始めれば良いということでマストドンが開発された。

これは、Web 3.0の流れでもあり、今後ますますこの流れに進んでいくものと思われる。

日本での流行

こうしてマストドンは日本で流行し普及したが、しかし実は日本でしか流行っていない。

日本だけでも膨大な数のインスタンスと会員数があるが、これだけで本家(mastodon.social)の規模を軽く超えてしまっていることからも分かるように、日本以外ではそんなに流行っていないのである。

ただ、これは別に問題ではない。Twitterですら、日本人が会話する相手はほぼ100%日本人なのである。かつ、別に日本国内で閉じているわけではなく世界にも広がっているのだから、将来的に海外でもマストドンが普及すれば問題は自ずと解決されるのである。

投稿の傾向と変遷

マストドンでは、どのインスタンスでも政治的なトゥートは好まれないことが多い。

ノンポリしかいないという訳ではなく、本人の思想の左右を問わず政治的なトゥートはあまりしないということである。

結果、政治家の名前や政治的な単語をミュートしている人が多かったり、政治的な話はCWで隠している事が多い。これは日本に限らず、海外でも同様の傾向である。

但し、昨今ではTwitterの終焉の始まりもあって、Twitterに愛想を尽かしてマストドンに移り住んだ保守派またはパヨクの流入も多くあり、以前よりは政治トゥートの流量も増えているようである。

分散SNSの今後

分散SNSには賛否両論がある。

Twitter独占を嫌う層は一定数あるが、「人のいないSNS」ほど無価値なものもない。分散化は一社が独占しようとする力に対して非常に強いが、しかし分散化によって人は必然的に少なくなる。そういったSNSを作るメリットを疑問視する声がある。

ただ現状、特に日本では、新しい物好きと、エンジニアを中心として、マストドンは使われ始めている。こうして、mstdn.jpなど幾つかの利用者の多いインスタンスでは日常会話も活況となっており、「住みか」としては充分な機能を有するに至っている。

今後、一定の勢力を有するのか、静かに消えていくのかは、今はまだ分からない。

関連するリンク
GitHub
https://coron.tech/mastodon/instance/
用語の所属
マイクロブログ
関連する用語
Web 3.0
Twitter

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