血液検査 - 通信用語の基礎知識

血液の性質や、含まれる成分を調べ、病気であるかないかを診断する臨床検査。

概要
種類

末梢血液一般/末梢血液像
生化学的検査

肝機能
心機能
腎機能
膵機能ほか
電解質
糖尿病
痛風
脂質
蛋白分画
甲状腺機能
凝固因子・血栓検査
免疫検査
肝炎ウイルス
酵素活性検査
その他
腫瘍マーカー

概要

体中を巡る血液は健康状態を反映するため、採取した血液から病状などを判断することができる。

検体検査のうち、血液の検査として、「診療報酬点数表」による分類では次のようなものがある。

健康診断として、このうち主要な検査が実施される。

種類

検査の種類は多種多様であることから、以下はそのうちの一部、代表的なものを記載する。

基準値は年齢および性別によって変化するため、併記した基準値の範囲は健康診断の判断基準の一例である。この範囲内に収まれば概ね正常である。

末梢血液一般/末梢血液像

血球
- WBC(白血球数) (35～97 10²μL)
- RBC(赤血球数) (男438～577、女376～516 10⁴μL)
- HGB(血色素量) (男13.6～18.3、女11.2～15.2 g/dL)
- HCT(ヘマトクリット値) (男40.4～51.9、女34.3～45.2 %)
赤血球恒数
- MCV(平均赤血球容積) (男83～101、女80～101 fL)
- MCH(平均赤血球血色素量) (男28.2～34.7、女26.4～34.3 pg)
- MCHC(平均赤血球血色素濃度) (男31.8～36.4、女31.3～36.1 %)
PLT(血小板数) (14.0～37.9 10⁴μL)
網状赤血球数(RET) (0.1～2.6 %)
白血球像(白血球文画)
- BASO(好塩基球) (0.0～2.0 %)
- EOSO(好酸球) (0.0～7.0 %)
- NEU(好中球) (42.0～74.0 %)
  - Stab(桿状核球) (0.0～19.0 %)
  - Seg(分節核球) (27.0～72.0 %)
- LYM(リンパ球) (18.0～50.0 %)
- MONO(単球) (1.0～8.0 %)
- EBL(赤芽球)
赤血球形態
- 大小不同 (-)
- 奇形 (-)
- 多染性 (-)
- 有核 (-)

生化学的検査

肝機能

肝臓が作る酵素などの量をみて、肝臓の状態を調べる。

総蛋白(TP) (6.5～8.2 g/dL)
アルブミン(Alb) (3.7～5.5 g/dL)
A/G比 (1.30～2.00)
AST(GOT) (10～40 U/L)
ALT(GPT) (5～45 U/L)
γ-GT(γ-GTP) (男79以下、女48以下 U/L)
アルカリホスファターゼ(ALP) (38～113 U/L、IFCC法)
乳酸脱水素酵素(LD、LDH) (120～245 U/L)
総胆汁酸(TBA) (14.4 μmol/L以下)
総ビリルビン(T-Bil) (0.3～1.2 mg/dL)
直接ビリルビン(D-Bil) (0.0～0.4 mg/dL)
黄疸指数 (7以下)
コリンエステラーゼ(Ch-E) (男224～495、女198～452 U/L)
LAP (30～78 U)
TTT (0.5～6.5 U)
ZTT (2.3～12.0 U)
血中アンモニア(NH3) (75 N-μg/dL未満)
血中グルタミン(Glu) (75～110 mg/dL)

A/G比とは、アルブミンとグロブリンの総量との比であり、アルブミン低下やグロブリン増加などを判別する指標である。

心機能

心筋はじめ筋肉に関する酵素を調べる。

クレアチンキナーゼ(CK) (男50～230、女50～210 U/L)

別名、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)。

腎機能

血液中の成分をみて、腎臓の状態を調べる。腎臓の検査だが、これは尿からではなく血液から見る。

尿素窒素(UN、BUN) (8.0～20.0 mg/dL)
クレアチニン(CRE) (男0.65～1.09、女0.46～0.82 mg/dL)
推算糸球体濾過量(eGFR)

膵機能ほか

血液中の成分をみて、膵臓の状態を調べる。

血清アミラーゼ(AMY) (39～134 U/L)
- P-アミラーゼ (17～50 U/L)
- S-アミラーゼ
リパーゼ (17～57 U/L)

アミラーゼの由来には膵臓(P)と唾液腺(S)があり、血清アミラーゼはその全量である。アミラーゼが高値の場合、由来を知るためにP-アミラーゼを調べることがある。

電解質

血液中の成分をみる電解質検査。

ナトリウム(Na) (135～145 mEq/L)
カリウム(K) (3.5～5.0 mEq/L)
クロール(Cl) (98～108 mEq/L)
カルシウム(Ca) (8.6～10.2 mg/dL)
無機リン(IP) (2.5～4.5 mg/dL)
マグネシウム(Mg) (1.7～2.6 mg/dL)
血清鉄(Fe) (男60～210、女50～170 μg/dL)
TIBC比色法(総鉄結合能) (男210～410、女250～460 μg/dL)
UIBC比色法(不飽和鉄結合能) (男120～330、女110～425 μg/dL)

糖尿病

空腹時血糖(BS) (70～109 mg/dL)
糖負荷血糖(OGTT)1h (80～160 mg/dL)
糖負荷血糖(OGTT)2h (100～139 mg/dL)
HbA1c(NGSP) (4.6～6.2 %)
HbA1 (5.5～8.0 %)
フルクトサミン (162～243 μmol/L)
グリコアルブミン(GA) (11～16 %)
インシュリン(インスリン)

グリコアルブミンの値はHbA1cの値の約3倍である。

痛風

血液中の尿酸量を量る尿酸代謝検査。

尿酸(UA) (男3.6～7.0、女2.7～7.0 mg/dL)

尿酸量は痛風だけでなく、脳梗塞などにも影響を及ぼす。

脂質

血液中のコレステロールや中性脂肪など脂質を測る脂質代謝検査。

総コレステロール(T-Cho) (150～219 mg/dL)
中性脂肪(TG) (50～149 mg/dL)
HDLコレステロール(HDL-C) (男40～80、女40～90 mg/dL)
LDLコレステロール(LDL-C) (70～139 mg/dL)
β-リポ蛋白(β-Lipo) (男150～600、女130～430 mg/dL)
アポリポ蛋白AI (119～155mg/dl)
アポリポ蛋白AII (25.9～35.7mg/dl)
アポリポ蛋白B (73～109mg/dl)
アポリポ蛋白CII (1.8～4.6mg/dl)
アポリポ蛋白CIII (5.8～10.0mg/dl)
アポリポ蛋白E (2.7～4.3mg/dl)
過酸化脂質 (2～6nmol/ml)
動脈硬化指数

蛋白分画

血漿中に存在する蛋白質を調べる。血漿中蛋白の多くは、アルブミンと、α/β/γの各グロブリンであり、これを検査する。

A/G比 (1.55～2.55)
アルブミン(Alb) (60.8～71.8 %)
α₁-Gl (1.7～2.9 %)
α₂-Gl (5.7～9.5 %)
β-Gl (7.2～11.1 %)
γ-Gl (10.2～20.4 %)

A/G比とは、アルブミンとグロブリンの総量との比であり、アルブミン低下やグロブリン増加などを判別する指標である。

甲状腺機能

トリヨードサイロニン(T3) (0.8～1.8ng/ml)
サイロキシン(T4) (4.8～11.2μg/dl)
遊離トリヨードサイロニン(FT3) (2.1～4.1pg/ml)
遊離サイロキシン(FT4) (1.0～1.7ng/dl)
甲状腺刺激ホルモン(TSH) (0.34～3.88μU/ml)

凝固因子・血栓検査

APTT (26.0～38.0秒)
プロトロンビン時間
- PT時間 (10.0～13.0秒)
- 対照 (秒)
- PT活性値 (80.0～120.0 %)
- PT-INR (0.90～1.13)
Dダイマー (1.0 μg/mL以下)
フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP) (5.0 μg/mL以下

PT-INRは正常血漿との比であるため、1.00に近いほどよい。

免疫検査