TSF

読み:ティーエスエフ
外語:TSF: transsexual fiction 和製英語 , TSF: transsexual fantasy 和製英語 , TG: transgender fiction 英語
品詞:名詞

異性への性転換を題材としたフィクション作品の総称であり略称。「TS」とも。

目次

フィクションでも現実での性転換手術でも、男から女への性転換をMtF(male-to-female)、女から男への性転換をFtM(female-to-male)という。

フィクション作品においては、例えば男性が心はそのまま身体だけ女性に性転換(MtF)してその友人だった男性とのラブコメ、といった話が割とある。男性同士であればただのホモ(同性愛)だが、性転換(TS)していれば身体は女になるので、ホモとは別ジャンルとなる。

性転換というのはあくまでシチュエーションないし設定上のものであるので、作品として成立させるためのジャンル(SF、ラブコメ、ファンタジー等)は別に存在する。

考え方

異性装は含めず、肉体そのものが変化する、つまり生殖機能そのものが変化するという本当の意味での性転換についての物語はギリシャ神話での時代からあり、その歴史は長い。

日本を見てみると、日本神話には女装はあるものの、性転換はない。日本の場合は異性装が主で、古くから異性装の演劇などはある。例えば女性だけで構成され男役は女性が男装をして演じる「宝塚歌劇団」は初演が1914(大正3)年である。さらに遡れば、江戸時代以降の歌舞伎は全て男が演じ女役も男が女装しており、女形(おやま)という役名もある。これは女性や若者の歌舞伎は風紀を乱すとして幕府に禁じられ、大人の男性が演じるようになったのが1652(承応元)年に「若衆歌舞伎」が禁じられた翌年、「野郎歌舞伎」が登場してからとされている。

ここから、日本において性転換という概念は海外からの輸入であると判断できるが、TSF作品の初出については定かではなく、特定不能である。つまり『日本では「いつの頃にか」異性装の世界に何らかの新機軸(イノベーション)が芽生え性転換という概念が生じた』ことになる。

日本での流行の起点

過去の性転換作品

これを著している2022(令和4)年現在、まんが、ラノベ、アニメに至るまで、TSFの作品が数多く見られる。つまりこの作者が、作品を書き始めるまでに何らかの影響を受けた元があったはずである。

遡れば、メジャー作品として異性への変身を扱った代表作は高橋留美子によるマンガ作品「らんま1/2」(1987(昭和62)年)という作品がある。これは実際に肉体が変化する性転換として画期的な作品であり、これ以降(この作品で性癖を歪められる人が大量発生するという意味で)日本のTSFに多大な影響を与えたと考えられる。

また、「らんま1/2」の2年前、秋本治によるマンガ作品「Mr.Clice」(1985(昭和60)年)という、TSFに該当するかは不明だが「瀕死の重傷を負って脳だけ女性の体に移植され蘇生」し、結果「心は男、体は女」というSF作品が描かれている。

遡れば、Mr.Cliceから更に12年前、TBS系列のドラマ「へんしん!ポンポコ玉」(1973(昭和48)年)という作品があった。これは登場人物の中学生「立花 百合」と「河井 陽一」が持つアイテムであるポンポコ玉を持って向き合い呪文を唱えると10分間、二人の性が入れ替わる、という内容のドラマだった。

有史以前

更に遡れば、日本では異性装しか見られなくなる。

例えば手塚治虫によるマンガ作品「リボンの騎士」(1953(昭和28)年)という少女まんが作品があり、男女両方の心を持つお姫様が男装をして悪人と戦うという、当時としては画期的な作品があった。手塚は、この作品は「宝塚歌劇団」の影響を受けたと述べている。

検証

ちなみにらんま1/2の作者である高橋留美子は手塚治虫を好きな漫画家の一人に挙げている。

ここから、今では(数多の変態性癖漫画を世に送り出し)神と崇められる「手塚治虫」の影響を受けた「高橋留美子」がTSFまんがを描き、日本では恐らく最初のブームを巻き起こした。ここから影響を受けた現代の作家によって新たなTSF作品(まんがやラノベなど)が作られ、その影響を受けた更に若い作家により更にTSF作品が作られる、という形で現在に至るものと考えられる。

現代的なTSF作品

TSF作品に求められるのは身体が異性に変わることであり、異性装だけではTSFとは言わない。更に男性向けが多いので、元男性が女性(それも美少女)の身体に性転換(MtF)しつつも心は男のまま、といったストーリー展開が多い。

そして、「TSF作品らしさ」を決めるテンプレ的展開がある。

  • 鏡を見て「これが…俺…」 (心は男のままであることの表現の一端)
  • 自分の胸や股間などをみて喜ぶ (同上)
  • トイレの使い方に戸惑う (女性での用の足し方が分からない、あるいは男子トイレに入るべきか女子トイレに入るべきか迷う、時に結論が出せず限界が来ておもらしする)

こういったテンプレ展開の開祖が何であるかは現時点では不明である。

TSFと類似したカテゴリーも多数あるが、多くの場合、ファン層は異なる。

  • 性同一性障害
  • ふたなり
  • 異性装趣味
  • 同性愛
  • 男の娘 (男の子だが見た目が女の子であるもの。しかしどこまで行っても男であることに変わりはない)
  • 異世界転生 (異世界転生と同時に性転換する、という、性転換する理由を転生とする作品が多数ある)
関連する用語
ふたなり
男の娘

コメントなどを投稿するフォームは、日本語対応時のみ表示されます


KisoDic通信用語の基礎知識検索システム WDIC Explorer Version 7.04a (27-May-2022)
Search System : Copyright © Mirai corporation
Dictionary : Copyright © WDIC Creators club