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機動戦士ガンダム劇場版三部作の最終作。1982(昭和57)年3月13日公開。
第三作での収録範囲は、テレビ版第31話("ザンジバル追撃!")から最終話("脱出")迄となっており、ホワイトベースが再び宇宙に出るところから始まり、冒頭でのドレンのキャメル艦隊との鮮やかな戦闘、サイド6でのカムランとミライ、アムロとアムロの父、アムロとララァ、アムロとシャアなどの様々な出会い、テキサスコロニーでのシャアとの対決、ララァとアムロの感応、セイラとシャアの話し合いと決別、ソロモン攻略戦、ララァ(エルメス)との対決、ニュータイプとしての精神的感応とララァの死、そして最後の舞台となるア・バオア・クー戦へと続く。元々テレビ版の終盤は視聴率の低迷から打ち切りとなりストーリーが大きく端折られていたこともあって構成は三部作の中でも最も大きく作り直されており、前半は小規模な戦闘を折り混ぜつつ人の出会いを中心に構成し、後半では畳み掛けるように大規模な戦闘の中で人の別れや悲劇的展開、そしてラストシーンへと流れるように1本のストーリーが進められ非常に完成度が高い。また、テレビ版ではこの辺りの制作時点で、キャラクターデザイナーでありアニメーションディレクターであった安彦良和が病気により途中でスタッフから降りていたことから作画が大きく荒れていたが、逆に本作ではその反動から安彦氏による全面的な描き直し作業が行なわれ、絵的にも非常に美しく完成度の高い画面作りが成されることとなった。この結果、本作は一、二作目以上にテレビ版とはまるで異なる完全新作に近い仕上がりとなっている。
ニュータイプとして覚醒をはじめたアムロが、兵士としてでなく人間として様々な人と出会い、そして自らの生き方と問うといったテーマを中心にしており心理的な描写が圧倒的に大きい。ほぼ全編に渡って描き直された作画によりキャラクターの心情が木目細かく表現され、特にアムロとララァの出会いや感応シーンは非常に印象的。シャアの関るシーンも、アムロとの出会いやララァとのプライベートシーン、セイラとの再会シーン、最後にキシリアを倒すシーンなど、徹底的に描き直しが行なわれている。戦闘シーンもアムロの能力覚醒に連動して鮮やかで美しいシーンが多く、その他大量の新作シーンが盛り込まれ、特に冒頭のキャメル艦隊戦、ゲルググとの対決、ビグザムへのコアブースターの特攻、エルメスの戦闘シーン、最後のア・バオア・クー戦は新作カットの山盛りとなっている。また音楽も一、二作目以上に凝っており、挿入されるテーマ曲のみならず、各BGMも完成度の高い曲作りがされている。
完成度を上げると共にサービス的カットや演出も数多く盛り込まれ、テレビ版では屁理屈で最後まで私服だったララァに制服が与えられている他、何故か休息中のセイラの入浴シーンまでもが全面新作化されている。フラナガン博士は映画用にデザインが改めて起こされた他、ギレンの秘書としてセシリアという女性が新規に作られたが、台詞も無く登場シーンも少ない割にマニアに妙に人気の高いキャラとなった。他にはア・バオア・クーでの戦闘でメインの戦闘以外のカットの挿入が目立ち、ホワイトベース部隊以外のガンキャノンの参戦、一作目で削除された旧ザクの登場、本作で登場シーンの削られたビグロの複数配備、中隊長ザクが部下を押し出しておいて流れ弾でやられるなど、様々なシーンが追加されている。なお、全面的な構成の変化から削除されたストーリーが多く、ビグロとザクレロ、ギャン、ブラウ・ブロは登場しない。例によって宇宙空間戦でガンタンクが登場しない代わり、ガンキャノンが二機登場し108および109のコードで呼ばれる。スレッガーとセイラの二機のコアブースターは005および006のコードで呼ばれた。ガンダムはエルメスとの対決前にマグネットコーティングされたことを示す台詞があるがテレビ版ほど重要な内容にはされておらず、ガンダムの反応がアムロに完全に追い付かなくなる描写は無くなっている。
ギャンの登場が無くなったことでマ・クベが死ぬシーンも無くなり、彼はソロモンでドズルの妻ゼナと娘ミネバを救出する役回りとなっている。このミネバは続編であるZガンダムおよびガンダムZZでのジオンの再興に関連する重要なキャラとなる。またエンディングロール時にグワジン型のジオン艦が去るシーンがあり、その窓にシャアのシルエットが見えるという思わせぶりなカットが示されている。Zガンダム以降の続編はテレビ版でなく劇場版の続編である、ということにされており、シャアはこのままアクシズに移り、ハマーン・カーンと共にジオンの残党としばらく過ごした後、地球圏でのティターンズ台頭に対して地球に帰還して連邦軍籍を入手し、エゥーゴ組織化の支援を行なう…といった流れになっている。
本作のテーマ曲 "めぐりあい" および挿入歌 "ビギニング" も前作のテーマ曲と並び非常に人気が高く、また劇中でのBGMとしても効果的に使われている。この曲も前作同様に元ブルー・コメッツの亡・井上大輔が歌っている。
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