eneloop

読み:エネループ
外語:eneloop 英語
品詞:商品名

かつての三洋電機の開発し、当時の三洋エナジートワイセル(後のFDK)が製造していた、高性能なニッケル水素蓄電池の商品名。現在はFDKが製造しパナソニックが販売している。

目次

由来

自然放電抑制性能、繰り返し使用回数、電池容量などの性能が高い充電池のブランド。

従来の二次電池(充電池)にあった欠点を改善し、充電して継ぎ足せる乾電池として開発された。

その後

パナソニックは、このeneloop技術欲しさに三洋電機を買収し、電池以外の殆ど全てを支那に売り飛ばした。

しかし欲しかった三洋の電池事業も結局は売らざるを得なくなり、以降、eneloopを縮小して充電式EVOLTAに置き換えるという商品展開となっている。

単1・単2についてはeneloopブランド廃止となった。単3・単4については残され「充電式EVOLTA」ブランドと併売という方式になったが、これも将来は不明である。

沿革

  • 2005(平成17)年11月14日: 単3形を発売
  • 2006(平成18)年1月21日: 単4形を発売
  • 2008(平成20)年9月12日: 単1形、単2形を発売
  • 2009(平成21)年11月14日: 「第二世代」製品発売 (充電回数1000回→1500回、縦の長さを若干縮小)
  • 2010(平成22)年6月: 低容量版(充電回数は2000回)の軽量安価な「eneloop lite」発売
  • 2011(平成23)年6月: 高容量版「eneloop pro」と、過昇温防止機能搭載の「eneloop plus」発表
  • 2011(平成23)年11月14日: 「第三世代」製品発売 (充電回数1500回→1800回、自然放電抑制性能を更に向上)
  • 2013(平成25)年4月26日: パナソニックブランドで発売

純国産

乾電池の代わりを標榜しているとはいえ、単3形4本セットで定価が1000円を超えるなど、使い捨ての乾電池と比べればその価格差は歴然としてはいる。

その代わり、eneloopは純国産である。海外への技術情報流出を避けることも目的にあったのだろう。

充電器については、専用ではなく既存のものも利用でき、このためMade in China(支那製)な安物充電器も使われている。

製造はFDK

三洋電機は2009(平成21)年10月28日、eneloopを含む、民生機器向けニッケル水素蓄電池の事業を富士通の子会社、FDKに約64億円で売却すると発表した。

これは、2009(平成21)年12月21日にパナソニックがTOBで三洋電機株式会社を買収するが、その際に民生機器向けのニッケル水素蓄電池事業の世界シェアが大きくなりすぎ、米国や支那の競争法当局からTOBの許可が下りなかったためとされる。結果、同社の子会社で製造を手がけていた三洋エナジートワイセルの株式はFDKに譲渡された。

電池についてはパナソニックと富士通は競合関係にあるが、独占禁止法の壁と、今後重要基盤産業になる電池で日本企業の競争力をそぎ落としたいと考えていた他国の意向により、パナソニックはeneloopを富士通に売るという選択肢を選択せざるを得なかった。

eneloopのブランド名はその後もパナソニックが使用を続けており、FDKが製造したものを買い取って販売する形となっている。

充電式EVOLTAとの差

パナソニックが販売する製品として完全に競合する、元々パナソニックが販売していた「充電式EVOLTA」シリーズは、今も昔もMade in China(支那製)の製品である。

三洋電機を買収して以降は、eneloopの技術を用いて、eneloopの性能向上と共に充電式EVOLTAシリーズの性能も向上させた。

併売という形が維持されているが、eneloopと充電式EVOLTAは全く別の製品である。

なお、FDKは、自社の製造するeneloopを「FUJITSU充電池」として販売している。

過去の問題点

従来のニッケル水素蓄電池(には限らず充電池)は自然放電が多く、使わなくても消耗してしまう。このため一次電池の乾電池のようにあらかじめ充電された状態で販売することは不可能で、またあらかじめ充電しておいて停電時などの非常時に利用するようなこともできない。本当に理想的な意味での蓄電池としての用途をなしているとは言いがたかった。

また、他の種類の蓄電池と比べれば改善されているとはいえニッケル水素蓄電池にも多少のメモリー効果があることから、使い終わってから充電しないと劣化する問題もあり、課題は山積だった。

改善点

自然放電を抑える機構を開発した。当初型でも充電から約1年後で約85%、3年後で約75%の容量を残す特徴を有していた。2011(平成23)年11月発売の新型では充電から約1年後で約90%、3年後で約80%、5年後でも約70%の容量を維持できるようにした。

また、メモリー効果を抑えている点も特徴である。

結果、「買ってすぐに使えて、継ぎ足し充電が可能」な「乾電池」として利用できる二次電池として実用化された。

なお出荷前の充電には、太陽光発電などによる電力を用いているとされ、これによってグリーン電力証書も取得されている。

この他に、他社のニッケル水素電池より、次のような点が優れている。

  • 電圧の安定性
  • 過放電に強い
  • 低温性能に優れる

ラインナップ

かくして、多様なラインナップがそろうことになった。

  • 大きさ(容量は標準のもの)
    • 単1形 (5,700mAh) →パナソニック以降、販売終了
    • 単2形 (3,000mAh) →パナソニック以降、販売終了
    • 単3形 (1,900mAh)
    • 単4形 (750mAh)
  • 種類
    • eneloop
    • eneloop lite (低容量版)
    • eneloop pro (高容量版)
    • eneloop plus (過昇温防止機能搭載) →パナソニック以降、販売終了
  • 世代
    • 第1世代 (充電回数1000回)
    • 第2世代 (充電回数1500回)
    • 第3世代 (充電回数1800回)
    • 第4世代 (充電回数2100回、以降、パナソニック)

長所と短所

長所

  • 自然放電性能が高いため、充電してから放置しても長期にわたり消耗しない
  • 購入時点で充電されており、買ってすぐに使える乾電池感覚
  • メモリー効果が抑えられているため、気軽に継ぎ足し充電でき、いつでもフル充電にしておける
  • 充放電回数は1500回(第2世代)や2000回(第3世代)と高耐久。1回あたり使用コストは約2.5円(第2世代)や約2.2円(第3世代)と安価
  • 専用充電器を要しない。他社製の一般的なニッケル水素蓄電池用充電器でも充電は可能である

短所

  • 公称電圧が1.2Vと低い (ただし実際は公称電圧より出力電圧は高い。対して乾電池は公称より電圧が低い。実運用上は同程度)
  • サイズが若干大きい。このため使用する機器の電池ボックスの大きさによっては入らない、入れた後取れないといった問題が生じる

エコに配慮した電池とされ、エコポイントでの交換商品に選ばれた。

また、エコを重視したWILLCOMのアクセスポイントどこでもWi-Fi」も、eneloopを採用し、標準添付している。

コメントなどを投稿するフォームは、日本語対応時のみ表示されます


KisoDic通信用語の基礎知識検索システム WDIC Explorer Version 7.04a (27-May-2022)
Search System : Copyright © Mirai corporation
Dictionary : Copyright © WDIC Creators club