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おねしょパンツ

辞書:文化用語の基礎知識 生活と文化編 (LLIFE)
読み:おねしょぱんつ
品詞:名詞
2016/01/28 作成
2021/06/26 更新

おねしょ(夜尿症)の対策として、吸水構造と防水構造を持たせたパンツの俗称。「トレーニングパンツ」とも。

まだおねしょが治っていないものの、おむつを嫌がる子供に使用する下着である。

同様の製品に失禁パンツと呼ばれるものもあるが、特に子供のおねしょに特化した製品がこう呼ばれている。

おむつとは違い見た目はパンツそのものとなっているため、お泊まりほか外出先などで、おむつを使用するのが難しい場面でも使用できることが利点となる。

様々な製品があるが、一般的なものは多層構造となっており、肌側は吸水素材や吸水保水素材がありこれで尿を吸水し、中間層の防水素材で尿をせき止め、一番外側となる表素材は綿などの素材で普通のパンツに見えるようなデザインとしている。

布おむつと同様、洗って再利用できるのが一般的である。

機能

性能は製品により様々だが、、製品により子供のおしっこ1回から2回分(約110ml〜200ml)程度を吸収し、外に漏らしにくいようにしたものが多い。

ただし、紙おむつ等とは違い吸収体は綿などであるので、押せば染み込んだ尿がにじみ出て来る。またおむつと違って吸水に限界があるので、尿の量が多い場合は股周りから漏れ出てしまうことがあるので注意が必要である。

それ自体は吸水性はないがポリエステル素材などの防水布を付けておしっこの染み出しを防止した「おねしょズボン」と併用することもある。また、それ自体に吸水性を持たせた「おねしょズボン」製品も市販されている。

布団に敷いて使う「防水シーツ」などと併用することもある。

失禁パンツとの差

失禁パンツと呼ばれる製品は、軽失禁のように少しずつちびるものを吸水することが想定されている。

しかしおねしょは、排尿を始めたらそのまま最後まで出すことが多い。このため、吸収速度を上げないと溢れて漏れてしまうため、構造を吸収速度に極振りした製品がおねしょパンツと言うことになる。

ちなみにおねしょだけでなく尿意を感じてからトイレまで間に合わず漏らしてしまう場合(いわゆるおもらし)も、尿を抑制できずに出てしまう状況から考えると最後まで一気に出してしまうことが多いと思われる。こういった場面での対策にも、吸収速度極振りは活用できることになる。

紙おむつでも通常製品は通常の放尿速度を吸水できないが、吸収量よりも吸収速度に振った製品がおねしょ向けとして市販されており、それと同様のコンセプトの失禁パンツがおねしょパンツであると言える。

デザイン等

地味ながら需要の高い製品らしく、様々なメーカーが様々なものを販売している。子供用パンツらしくブリーフ型(男児用)やショーツ型(女児用)パンツが多いが、少し大きな子供向けにボクサーパンツ(トランクス)型のもの、更に大きい一分丈パンツなども販売されている。

おねしょは女の子より男の子の方が多いとされており、このため需要と供給から男の子用の製品が多く存在する。見た目はボクサーパンツ風でそれがおねしょパンツであるとは分かりにくいデザインとなっており、また色も普通の下着と殆ど変わらない白のほか、濡れが目立たない濃いめの色としてダークネイビーなどの製品まで多岐にわたる。

こういった対策用品は毎日の家庭内生活でも有用ではあるが、特に必要となるのは幼稚園保育所、そして小学校つまり修学旅行や合宿などの宿泊学習時である。修学旅行で紙おむつをして寝るというのは、それはおねしょをする癖があるということを公言するに等しく、なおかつそれをバレずに済ますことは不可能に近く、本人の尊厳を著しく損なうことになるのでリスクを考えると非現実的である。

そこでそういった場合でも違和感なく使えるもの、普通の下着のようなデザインで着替えの際に人に見られても違和感がないもの、表地も内側(吸水側)も見た目があたかも普通のパンツのようであるもの、尿を吸った状態で内側を見られても濡れが目立ずおねしょしたことがバレにくいもの、運良くおねしょをしなかった場合はそのままはき続けられるもの、といった諸条件を満たす製品が望ましいということになり、そういった製品が市販されているようである。

洗濯

下着というその製品の使用目的から、洗濯可能なものが一般的である。汚れても、洗って干せば防水素材が痛むまでは再利用できる。洗えば済む話なので、親も子も気分は楽である。

洗濯機で洗う場合、防水素材という構造上、脱水を掛けても完全には水が飛ばないことが多い。無理に長時間回しても生地が傷むほか、洗濯機の故障の原因ともなりうるので避けるべきである。脱水は短時間にするか、あるいは脱水せずにすすぎだけして、干して乾かす。

生地にもよるが、漂白剤は生地を傷めることがあるので、あまり推奨されていない。可能なら蛍光剤が入っていない中性洗剤を使用し、洗剤が残らないように(特に粉末洗剤の場合)すすぎを念入りにする(注水すすぎ機能を使用する)ほうがよい。どうしても臭いが気になる場合は、酸素系漂白剤を薄めて浸け置きする。

柔軟仕上げ剤や柔軟剤入り洗剤は撥水効果をもたらすため、せっかくの吸水力を落とすことになるので使用してはいけない。これは、例えばおむつカバーなどでも同様である。もし間違えて使用してしまった場合、食器用洗剤で良く洗ったあと、通常の洗濯をすると吸水力は戻る。

また乾燥機も、熱で防水素材が溶けたり縮んだりして破損することになるので、使用してはいけない。

吸水層

幼児向け製品

どのように吸水するかは製品により様々であるが、単に水を通さない素材で覆うだけではすぐに溢れてしまうので、必ず何らかの吸水素材が使われている。

例えば幼児向けの製品であれば、幼児の尿量はさほど多くはないため吸水素材にはポリエステル100%、あるいはポリエステル+レーヨン、といった吸水性が高い化学繊維が使われている。こういった素材であれば、防水布がある以外は普通の下着と殆ど変わらないことから普通に洗濯ができ、洗濯後の乾燥も速い。

小学生向け製品

しかしもう少し大きい子供向け、つまり小学生向け製品となると、成長に伴って増えた尿量を速やかに確実に吸収する性能が必要になる。

どういったアプローチで機能を実現するかは製品次第であるが、そういった製品で有名な三隆商事株式会社の製品であれば、一着6,000円前後となかなか高価な商品だが素材はベルオアシス30%、アクリル30%、レーヨン20%、ポリエステル20%、などとあり、それなりの尿量を速やかに吸水して漏らさないことに特化した、ほぼ最終手段とも思える製品として市販されている。

このうち「ベルオアシス」というのが帝人フロンティアの吸水ポリマー素材のブランド(商標)であり、紙おむつや尿取りパッドなどでも使われているものである。帝人フロンティアの説明によれば、吸水性能は自重の80倍で、木綿の約7倍、B型シリカゲルの約2倍の吸湿能力を持ち、素早い吸水と圧力を加えても水分を逃がしにくい(つまり吸水した部分に寝返りなどで圧が掛かっても尿が戻らない)などの特徴を有しつつ、更にアンモニアに対する消臭性能を持ち、天日干しで繰り返し利用できる、などとしている。

ただし、天日干しで乾くとは言ってもそこは紙おむつでも使われるような吸水ポリマーである。吸水ポリマーは吸水力は強いが水を発散させにくいため、洗濯後の乾燥には時間が掛かる。天日干しで4〜6日、乾燥機で8〜13時間程度を要するとされており、従ってもし毎日あるいはそれに近い頻度で使うのであれば、高価な製品ではあるがそれだけの枚数を揃える必要があることになる。

なお、乾燥したかどうかは計量し、元の重量に近いかどうかで判断する以外にはない。もし乾燥が不十分な場合、残った水分量だけ尿の吸収量が落ちることを意味する。

寝相などでの漏れ

どのような素材を用いたにしても、寝相が悪かったりすると漏れることもあるので、必要に応じてパッドを併用したり、あるいは防水シーツ(おねしょシーツ)で敷き布団をガードすることも重要である。

よりカード性能を高めるために、ズボン型としてより広範囲で吸水する防水ズボン(おねしょズボン、おねしょケットなど製品呼称多数)といった関連製品も様々市販されている。

用語の所属
パンツ
関連する用語
おねしょ
おもらし
おむつ
おねしょズボン
失禁パンツ

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