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強い相互作用

辞書:科学用語の基礎知識 物理学編 (NPHYS)
読み:つよい・そうごさよう
外語:strong interaction 英語
品詞:名詞
2003/07/12 作成
2021/01/09 更新

基本相互作用のうちの一つ。古くは「強い力」と呼んだ。

非常に強い「核力」の元になる相互作用であり、四つある既知の基本相互作用の中で最も強い相互作用である。

この力は、2番目に強い電磁相互作用の約137倍、3番目に強い弱い相互作用の約100万倍、最弱の重力相互作用の1038倍にもなる。

機能

クォークを結びつけハドロンを作る力が強い相互作用である。

例えば原子核は、陽子中性子からなり、各々が3個のクォークからなっている。

この陽子や中性子は、互いの距離が近くなると斥力が働き、離れると引力が働くという性質があるが、原因が強い相互作用である。

強い相互作用は8種類のグルーオンが元となる。

相互作用の性質

陽子は正の電荷を持つが、中性子は電荷を持たない。つまり、陽子と中性子の間に働く斥力は電磁相互作用が原因ではなく、この強い相互作用の働きである。

さらに強い相互作用は、距離の二乗に比例して強くなるという直感では考えにくい特徴を持っている。

陽子同士、陽子と中性子が結びつき原子核を作るのは、強い相互作用によって互いが結びつけられるためである。強い相互作用は、陽子や中性子間でπ中間子が交換されることにより生じ伝播する。

性質は実験によって示されている。更に2007(平成19)年、筑波大大学院数理物質科学研究科の青木慎也教授らがスーパーコンピューターを使った計算で、その力の仕組みを素粒子レベルで統一的に説明することに成功した。

相互作用の分離

ビッグバン宇宙論では、時刻10−36秒(温度1015GeV)に第二の相転移が起こり、色の力と電磁相互作用が分離した。

色の力は、時刻10−4秒(温度10−1GeV)の第四の相転移で、強い相互作用(核力)に変化した。

強い相互作用は強い力であるが、力の及ぶ範囲は狭く、陽子や中性子が極めて近距離(約10兆分の1cm以内)で接したときのみ働く。仮に別々の原子核同士であっても、この距離程度に接近すれば強い相互作用が働いて融合し、別の種類の原子核に変わる。これが核融合である。

例えば水素原子核同士が核融合を起こしヘリウムを作るのは、この強い相互作用があってこその反応である。

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