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乾電池

辞書:科学用語の基礎知識 電子部品電池編 (NELECB)
読み:かんでんち
外語:dry cell battery 英語 , dry battery 英語
品詞:名詞
1998/12/12 作成
2014/09/03 更新

化学電池のうち、一次電池の一つ。電解質を綿紙やでんぷんに吸着させたり、あるいは糊状にし、液が外に漏れないようにしたもの。

乾電池が発明される前は、液体の電解質が容器に入った蓄電池しかなく、重く扱いも不便だった。

この不便を改善するために乾電池が発明された。

「乾」というのは、古い液体の電池に対する名である。

由来

電池の発明者はイタリアのボルタであることはよく知られる。

乾電池の発明者は屋井先蔵(やい・さきぞう)で、1885(明治18)年のことだった。そして数年の改良の後に実用化された。しかし残念なことに屋井先蔵は貧しかったため1892(明治25)年まで特許出願ができず、結果、乾電池は1887(明治20)年にドイツのカール・ガスナー(Carl Gassner)が発明した、ということになってしまった。

それでも、乾電池の発明者は日本人だということは揺るぎない事実であり、日本人として誇れるものであろう。

特性

乾電池は小型軽量で扱いやすく、また液漏れがしにくいように作られた。しかし、扱いによっては液漏れをする欠点がある。

乾電池は充電することができない。

筒型乾電池は、大きさに関わらず電圧1.5Vである。大きいほうが容量が大きいので、長時間使用できる。

材質

筒型乾電池では、マンガン電池アルカリ電池が主流。

マンガン電池(マンガン乾電池)は、フランスのルクランシェ(Georges Leclanche)が考案したしたもので、正極の二酸化マンガンを負極の亜鉛で囲み、電解液には弱酸性の塩化亜鉛や塩化アンモニウムを用いている。

アルカリ電池(アルカリ乾電池)は、電解液を水酸化カリウムに変えたもの。導電性が高まり内部抵抗が減ったため、マンガン電池より大容量の電流が取り出せるようになった。

代表的な規格

寸法は、IEC 60086-1:1996、あるいはJIS C 8500:1996で規定されている。国際規格であるが、呼称に関しては規格や国によって様々である。

日本国内で市販されているものは、単1形から単5形と、角型で9Vの006Pの6種類である。

寸法通称IEC 60086/JIS C 8500
直径高さ日本アメリカ欧州マンガンアルカリニッケルリチウム
34.2mm61.5mm単1形DMonoR20LR20  
26.2mm50.0mm単2形CBabyR14LR14  
14.5mm50.5mm単3形AAMignonR6LR6ZR6FR6
10.5mm44.5mm単4形AAAMicroR03LR03ZR03FR03
12.0mm30.2mm単5形NLadyR1LR1  
8.3mm42.5mm単6形AAAA     
  006P9V 6F226LR61  

表中に併記した単6形は、IEC/JIS共に規格外である。

その他の特殊電池は、積層電池であることも多い。積層電池は、既に廃れたものも含めて無数にある。

  • 円筒形
    • 23A (12V) 無線式玄関チャイムなどに多い
    • 27A (12V) 防犯用ブザーなどに見られる
    • 32A (9V) 同上
  • 通信用乾電池
    • 平3形 (1.5V) そろそろ絶滅危惧種
    • 平5形 (3V) 同上
  • 写真用積層電池 ‐ カメラフラッシュ用で電圧が高いのが特徴
    • 0180 (270V)
    • 0210 (315V)
    • 0304 (456V)
    • 0340 (510V)
  • 真空管用電池 ‐ 真空管ラジオに使う
    • BL-030 (45V) ‐ B電源用のB電池
    • BL-045 (67.5V) ‐ B電源用のB電池

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