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MNP

辞書:通信用語の基礎知識 通信手順下編 (CPEQIP)
読み:エムエンピー
外語:MNP: Microcom Network Protocol 英語
品詞:固有名詞
2000/09/06 作成
2016/03/11 更新

米Microcom(マイクロコム)社の提唱した各種のアナログモデム接続用の通信プロトコル

OSI参照モデルのデータリンク層に位置付けられる。

MNP自体は一社独自の仕様であったが、これを元にITU-Tによって機能拡張された規格ITU-T V.42などが勧告され、これらは広く普及することになった。MNPはパブリックドメイン扱いとなっている。

仕様

MNPにはクラス1/2/3/4/5/6/7/9/10の9種類がある。

クラス1〜4が誤り訂正のプロトコル、5〜9が誤り訂正とデータ圧縮のプロトコル、10は回線状態悪化に適応するためのプロトコルとなっている。

各クラスは基本的に上位互換となっており、相手のモデムが自分より低いクラスしかサポートしない場合には下位のクラスで接続できるようにされている。

クラス1および2は単体で使う製品は無く、常に他のクラスと併用される。多くのアナログモデムはクラス4または5までを標準的にサポートした。

技術

全てのクラスは、フレーム単位の伝送とCRCによるエラー検出、再送による誤り訂正機構を備えている。

クラス5以上のデータ圧縮は、誤り訂正プロトコルに付加する圧縮オプションとして機能する。

なお、MNPでの圧縮は効果の有無に関わらず常に機能するため、圧縮済みのバイナリファイルの転送時などではかえって効率が落ちる場合がある。後継といえるITU-T V.42bisでは効果に合わせて動的に圧縮機能を停止できるため、このような場合でも効率が落ちないようになった。

MNP1
キャラクター同期
効率は非同期通信で70%程度
MNP2
キャラクター同期
全二重対応で、効率は非同期通信で84%程度
MNP3
同期通信。110%程度の効率。
MNP4
MNP3+誤り訂正
120%程度の効率
  • アクティヴ・パケット・アッセンブリ(Active Packet Assembly)で、エラー数を計算し自動でパケット長を変更する。
  • オプティマイズド・データ・フェイズ(Optimized Data Phase)で、パケット生成の際の制御情報を、変更がない限り転送しなくした。
MNP5
MNP4+データ圧縮
200%程度の効率
  • ランレングス圧縮(Run Length Encoding)に対応した。同一文字が3以上続いた場合にそれ以降を送らずに最大250まで数え、違う文字になるか最大になった時に文字と数を送る。
  • アダプティヴ・アクティヴ・トークン・ナイジングに対応した。実際にデータを送るのではなく、データ出現頻度に応じたトークンと言う一連のパターンを割り付け、その内容を転送する。要するに圧縮するので、既に圧縮されている場合は逆にサイズが増加してしまい効率が悪くなる。
MNP6
MNP5+ITU-T V.29
9600bps半二重
MNP7
MNP5+ターボモード。スループット1.66倍速。約300%の効率。
  • ターボモード(Turbo Mode)でスループットを1.66倍ほど高速化。ランレングス圧縮に工夫をした。次の4ビットを数値として表わす。0〜15まであり、それ以降はニブルと言うフラグを立てる二重構造を取る。
  • アダプティヴ・ホフマン・マルコフモデルに対応。MNP5の手法に加え、一つ前のキャラクターに対してもマップを割り付け、2次元マップを作成する。これは予想の圧縮方法と呼ばれ、8ビット単位(256×256のマップ)で割り付けられ同一頻度が高いほど圧縮効率は増大する。この圧縮により物理回線の300%程度の効率を実現できる。
MNP8
MNP6+MNP7
半二重構造でクラス7とは非互換であり、実際の製品はない
MNP9
9600bpsクラス全二重規格 ITU-T V.32
MNP10
移動体通信。自動速度調節機構。
MNPの全てのクラスに互換があるほか、回線品質に応じ、自動で速度を調整する機能を持つ。
  • アグレッシヴ・アダプティヴ・パケット・アッセンブリ(Aggressive Adaptive Packet Assembly)で、回線状況からパケット長をリアルタイムに変更して高速化する。
  • ダイナミック・スピード・シフト(Dynamic Speed Shift)すなわち動的速度変更で、回線状況を判断し最適な規格を選択する。ITU-T V.32ITU-T V.22bisITU-T V.22Bell 212ABell 103から選ばれる。
  • ネゴシエーティッド・スピード・アップシフト(Negotiated Speed UpShift)で最適な速度で接続し、回線が劣悪条件に陥った場合は速度を落とし安定させ、条件が回復すれば再度高速側にシフトさせる。
用語の所属
通信プロトコル
関連する用語
ITU-T V.42
ITU-T V.42bis
ARQ
HST
LAPM-V

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