13族(アルミニウム族)に属する銀白色の典型金属元素。略してアルミ。
一般情報
原子情報
- 原子量: 26.981538(2)
- 電子配置:
- 1s2、2s2、2p6、3s2、3p1
- [Ne]3s2、3p1
- 電子殻: 2、8、3
- 原子価: 3
- 酸化数: 0、+3
物理特性
質量数は、19から43までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は一つのみ。
同位体核種 | 天然存在比 | 半減期 | 崩壊 | 崩壊後生成物 |
19Al | ‐ | | 陽子放射 | 18Mg |
20Al | ‐ | | 陽子放射 | 19Mg |
21Al | ‐ | | 陽子放射 | 20Mg |
22Al | ‐ | | β+崩壊 | 22Mg |
23Al | ‐ | | β+崩壊 | 23Mg |
23mAl | ‐ | | | |
24Al | ‐ | | β+崩壊 | 24Mg |
24mAl | ‐ | | IT崩壊 | 24Al |
β+崩壊 | 24Mg |
25Al | ‐ | | β+崩壊 | 25Mg |
26Al | ‐ | 74万年 | β+崩壊 | 26Mg |
EC崩壊 | 26Mg |
26mAl | ‐ | | β+崩壊 | 26Mg |
27Al | 100.00% | 安定核種(中性子数14) |
28Al | ‐ | 2.2414分 | β−崩壊 | 28Si |
29Al | ‐ | 6.56分 | β−崩壊 | 29Si |
30Al | ‐ | | β−崩壊 | 30Si |
31Al | ‐ | | β−崩壊 | 31Si |
32Al | ‐ | | β−崩壊 | 32Si |
32mAl | ‐ | | | |
33Al | ‐ | | β−崩壊 | 33Si |
34Al | ‐ | | β−崩壊 | 34Si |
35Al | ‐ | | β−崩壊 | 35Si |
36Al | ‐ | | β−崩壊 | 36Si |
37Al | ‐ | | β−崩壊 | 37Si |
38Al | ‐ | | β−崩壊 | 38Si |
39Al | ‐ | | β−崩壊 | 39Si |
40Al | ‐ | | β−崩壊 | 40Si |
41Al | ‐ | | β−崩壊 | 41Si |
42Al | ‐ | | β−崩壊 | 42Si |
43Al | ‐ | | β−崩壊 | 43Si |
安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。
非常に軟らかい軽金属で、地殻に多く(8%)含まれている。地殻中では酸素、珪素に次いで3番目に多く、金属では一番多い。にもかかわらず、精製にコストがかかり、それほど安価ではない。
両性元素で、酸にもアルカリにも溶解する。
酸化されると表面に安定な酸化物の膜を作る。これは酸に溶けないため、その内側にある金属を保護出来る(不動態)。
アルツハイマー患者の脳内アルミニウム濃度が上昇することから、アルミニウム化合物の摂取がアルツハイマーの原因だと言われたことがあるが、現在の知見ではその可能性は低いとされている。なお、アルミ製食器、調理器具を使用することはアルツハイマーの原因にはならないとされている。
- 引火点: (該当資料なし)
- 発火点: 590℃
- 爆発限界: (該当資料なし)
- 刺激
- 腐食性: (該当資料なし)
- 刺激性: (該当資料なし)
- 感作性: (該当資料なし)
- 毒性
- 急性毒性: (該当資料なし)
- 慢性毒性: (該当資料なし)
- がん原性: (該当資料なし)
- 変異原性: (該当資料なし)
- 生殖毒性: (該当資料なし)
- 催畸形性: (該当資料なし)
- 神経毒性: (該当資料なし)
長期に、または反復して粉塵粒子に暴露すると、肺が冒されることがある(アルミニウム塵肺)。
- 分解性: (該当資料なし)
- 蓄積性: (該当資料なし)
- 魚毒性: (該当資料なし)
加工されあらゆる所に使われていて、例えば建材、食器、包装材(アルミホイルなど)、電解コンデンサー(アルミニウム電解コンデンサー)材料などの用途がある。
集積回路のゲート電極をアルミニウムを使用ものをAlゲートという。またIC内部をアルミニウムで配線した製品もある。
シリコンとアルミニウムを材質とした半導体のことをSAMOSという。
送電線材料には抵抗と重量からアルミニウムなどが使われる。
日本では1円硬貨がアルミニウム製である。
1825(文政8)年にデンマークの物理学者ハンス・クリスチャン・エルステッド(Hans Christian 〓rsted)は、不純ながらアルミニウムを初めて分離した。
エルステッドはこの発見をドイツの科学者フリードリッヒ・ウェーラー(Friedrich W〓hler)に話し、ウェーラーは1827(文政10)年に単離に成功した。現在の化学史では、発見者はエルステッドとする派と、ウェーラーとする派に別れているようだ。
名前alumi(n)umは1807(文化4)年にイギリスのハンフリー・デービーにより名付けられた。由来は、アルミニウムの化合物の一つ、明礬(ミョウバン)を意味するラテン語の "Alumen" から。
様々な酸と塩を作る。
- アルミン酸 (H3AlO3)
- アルミン酸ナトリウム (NaAlO2) (1302-42-7、11138-49-1)
- イットリウムアルミニウムガーネット (Y3Al5O12)
- 塩化アルミニウム(III) (AlCl3) (7446-70-0)
- カオリナイト(カオリン) (Al2(Si2O5)(OH)4) (1332-58-7)
- 酸化アルミニウム(アルミナ) (Al2O3) (1344-28-1)
- 臭化アルミニウム (AlBr3) (7727-15-3)
- 水酸化アルミニウム (Al(OH)3) (21645-51-2)
- 水素化リチウムアルミニウム (LiAlH4) (16853-85-3)
- 窒化アルミニウム (AlN) (24304-00-5)
- 乳酸アルミニウム Al(CH3CHOHCOO)3) (18917-91-4)
- 弗化アルミニウム (AlF3) (7784-18-1)
- 沃化アルミニウム (AlI3)
- 硫酸アルミニウムカリウム(明礬) (AlK(SO4)2) (10043-67-1)
12 マグネシウム ‐ 13 アルミニウム ‐ 14 珪素
関連するリンク
社団法人 日本アルミニウム協会
ICSC 国際化学物質安全性カード
用語の所属

元素

典型金属元素

AL
関連する用語

SAMOS

ゼオライト

Alゲート

送電線

電解コンデンサー

中空押し出し一体成型工法