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RARP

辞書:通信用語の基礎知識 通信手順中編 (CPTRAN)
読み:アー・アープ
外語:RARP: Reverse Address Resolution Protocol 英語
品詞:固有名詞
1999/11/16 作成
2008/06/11 更新

ARPの逆(Reverse)の機能を持ったプロトコル。

このプロトコルは、自ノードのハードウェアアドレスから、その上位で動作するプロトコルアドレスを得るためのプロトコルである。

仕様はRFC 903に簡潔に書かれている。

OSI参照モデルネットワーク層に属するプロトコルで、Ethernetの上に直接実装されている。

EtherType(Ethernetフレームタイプ番号)は0x8035である。

プロトコル構造はARPと同様で、その応用となっており、実際には様々なハードウェアアドレスやプロトコルアドレスに対応する汎用性の高いプロトコルとなっている。

最もよく使われたのがEthernetでの利用で、MACアドレスからIPアドレスを得るのに用いられた。

以降は、このEthernetでの利用を前提として解説する。

このプロトコルで自分のMACアドレスをLAN上にブロードキャストすると、ネットワーク上にいるRARPサーバーが(あれば)、そのノードのIPアドレスを返してくれる。

このような事をするのは、ディスクレス端末等は起動時に自分のMACアドレスは分かってもIPアドレスは分からないためである。MACアドレスは常に固定なのでROM等に記録できる。一方、IPアドレスは環境依存の可変なので何らかの方法で保存することが必要だが、このような端末ではそれができない。

そこで、RARPにより自分のIPアドレスを求める。この方法では、IPアドレスとMACアドレスの関係をRARPサーバー上だけで管理すれば良くなり、クライアント側でIPアドレスを設定する手間が必要なくなるというメリットがある。

パケット構造

先頭より順番に、次の情報が格納される。

  • ハードウェアタイプ (ar$hrd) (2オクテット)
  • プロトコル (ar$pro) (2オクテット)
  • MACアドレス長 (ar$hln) (1オクテット)
  • IPアドレス長 (ar$pln) (1オクテット)
  • オペコード (ar$op) (2オクテット)
  • 送信元のMACアドレス (ar$sha)
  • 送信元のIPアドレス (ar$spa)
  • 宛先のMACアドレス (ar$tha)
  • 宛先のIPアドレス (ar$tpa)

ARPと全く同じである。RARPではオペコードが二つ拡張されている。

アドレス解決法

基本動作

基本的には要求を投げ、その応答を待つ。

オペレーティングシステム(OS)であれば、通常は下位層(デバイスドライバーなど)が処理している。この処理が必要に応じてRARPパケットをブロードキャストし、その際、RARPサーバーが(あれば)応答を返すので、それを待つことになる。

RARPサーバーを実装する場合、自分で解決可能かを確認し、もしそうであったら、パケットの所定の欄に自分のMACアドレスを入れ、質問主にユニキャストで返信する。

ARPの仕様を記載したRFCは古いため現在主流の書式と違って分かりづらいが、基本はこれだけである。

RARP要求の送信

送信時に未知のIPアドレスが必要になった場合、RARPの要求をネットワークに送信する。このパケットはブロードキャストで送信されるため、同じセグメント内にある全てのノードが受信できる。

この際、次の内容を設定して送信する。

  • ハードウェアタイプ(ar$hrd) ‐ Ethernetの場合は値1が使われる
  • プロトコル(ar$pro) ‐ 解決を要求するプロトコルを表わすEtherTypeIPv4アドレスなら0x0800
  • MACアドレス長(ar$hln) ‐ 通常は6
  • IPアドレス長(ar$pln) ‐ 通常は4
  • オペコード ‐ RARP要求は3
  • 送信元のMACアドレス(ar$sha) ‐ 自分のMACアドレス
  • 送信元のIPアドレス(ar$spa) ‐ ゼロで埋めておく(未定義)
  • 目的のMACアドレス(ar$tha) ‐ 解決したいMACアドレス(例えば自分のMACアドレス)
  • 目的のIPアドレス(ar$tpa) ‐ ゼロで埋めておく(未定義)

RARP要求の返信

RARP要求を受け取ったRARPサーバーは、そのRARP要求が自身で解決可能かどうかを判断せねばならない。もし無理であれば、そのRARP要求パケットは、そのまま破棄する。

まず、ar$thaが自分の管理下にあるかを確認し、あればRARP応答を、その送信元に対して返信せねばならない。

このとき、次の手順が必要である。

  • 送信元と宛先のアドレスを交換する(送受信の方向が変わるため)
  • 返信する送信元のIPアドレス(ar$spa)欄には、MACアドレスに対応するIPアドレスを格納する
  • オペコード欄を、応答(値は4)に書き換える

受信はブロードキャストだが、返信はユニキャストになる。

RARP応答の受信

RARP応答を受信したノードは、送信元のIPアドレス(ar$spa)を参照し、IPアドレスを得る。

問題点

RARPで得られる情報はIPアドレスだけである。

ネットマスクゲートウェイアドレスDNSサーバーアドレスなどの情報は得られない。このため、この情報を使わない範囲でしか対応できない。

一時期は、RARPで設定するネットワークプリンターが良く見られた。

  • 他のネットワークに出ていく必要がないので、ゲートウェイの設定が不要
  • NETBEUI over TCP/IPのみ対応なので名前解決にDNSを使わない
  • サブネットマスクはクラスによって決定

こういった限定された範囲内での用途であれば、これで充分だった。

しかし現在では、より機能の充実したプロトコルとして、BOOTPDHCPによる自動設定が主流となっている。

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