千本通

読み:せんぼん・どおり
外語:Senbon dōri 英語
品詞:固有名詞

京都市内で南北に伸びる道路の一つ。主要な通りは三条通以北。また、二条通以南は平安京の朱雀大路に相当し、かつての朱雀大路の跡地を通る。

目次

起点・終点

  • 起点: 京都府京都市北区鷹峯北鷹峯町(鷹峯交差点)
  • 終点: 京都府京都市伏見区納所町(納所交差点)
  • 延長: (未確認)

設計諸元

  • 構造規格: (未確認)
  • 設計速度: (未確認)
  • 道路幅員: (未確認)
  • 車線数: 1〜4車線

規制等

  • 制限速度: 30km/h(72km/hBeat)(一方通行区間)、設定なし(それ以外)
  • 最低速度: 設定なし
  • 標識規制: 駐車禁止(主として一方通行区間)

法定路線名

  • 京都市道千本通(1) (起点・鷹峯交差点〜花屋町通)
    • 京都府道31号西陣杉坂線 (起点・鷹峯交差点〜千本今出川)
    • 京都府道111号二条停車場円町線 (千本丸太町〜二条駅東口/御池通)
    • 京都府道112号二条停車場嵐山線 (押小路通/御池通〜千本三条)
  • 京都市道千本通(2) (花屋町通〜七条通)
  • 京都市道千本通(3) (八条通〜十条通)
  • 京都市道千本通(4) (十条通〜終点・納所交差点)

平安京

平安京においては、この道が「朱雀大路」として、南北に約4kmにわたって延び平安京を東西に分けるメインストリート、いわば「中央通り」であった。

しかもその道幅は28丈(85m)もあったという想像を絶する大通りであり、左右には並木として柳が植えられていたという。

現在の堀川通でも広いところで50m程度なので、乗用車のない平安時代に28丈(85m)とは常軌を逸した道幅である。ただこれはメインストリートであるので、国家の威信すなわち天皇陛下の威厳の象徴として、このような幅になったようである。

西の端に

このように、朱雀大路は平安京の中心で、この大路を境にして平安京は右京(西側)と左京(東側)が別れていた。

しかし右京(西側)は湿地帯で宅地造成に向かなかったこと、更に水難や大火災、平安末期の治承・寿永の乱(源平の戦い)などを経るにつれ平安京の中心はどんどん東へと移っていき、気がつけば朱雀大路は平安京の西の端になっていたのである。

平安京衰退後

平安後期には、この大通りも無用の長物と化し、鎌倉時代以降、平安京が機能を失うとともにこの道も機能を失い荒廃した。

右京(西側)が衰退していたこともあり耕作者によって占拠されたり建物が建てられたりしたため、現在では往事の面影は失われている。この朱雀大路の痕跡をとどめるのが現在の千本通(と旧千本通)であるが、現在に残る千本通(と旧千本通)はとてつもなく道幅が狭い。なおかつ朱雀大路は当時は直線だったと思われるものの現在の千本通(と旧千本通)は右に左にと蛇行する道になっていたり、明治時代には京都鉄道(後に国有化され国鉄を経て現JR西日本)の山陰本線が跡地付近に敷かれたりと、散々な末期を遂げた。

また北方向についても、大内裏(平安京宮城)の焼失以降はその跡地を貫いて北方向へと道が延ばされている。

上述のように朱雀大路は28丈(85m)もあったので、実際には千本通だけでなくその周辺の道路も朱雀大路の跡地を通っていると言える。

千本通

何が「千本」なのか?

朱雀大路の土地が占拠されたりした結果、最終的に残った道が千本通だった。ではなぜ朱雀大路の跡地にできた道が「千本」通と名付けられたのかについては諸説あるが、いずれにせよ何かがたくさん(関西方言で、千度・千本・千回などは「たくさん」を意味する)存在したのだろうとは予想できる。

主要な説は、次の3説である。

  1. 千本の桜並木説
  2. 千本松説
  3. 千本の卒塔婆説

千本の桜並木説

千本通鞍馬口下ル西側に引接寺(千本閻魔堂)という寺がある。

ここに普賢象桜という栽培品種の八重桜があり、この桜に後小松天皇が感心したという話や、その枝が足利義満将軍に献上された、などと伝えられている。

この説では、往事にはこの桜が千本(たくさん)あったとする。

千本松説

現在学問の神様とされる菅原道真は、讒訴にて大宰府へ左遷の憂き目にあい、平安京を離れることになった。そして失意のうちに薨去し太宰府に葬られた。これが今の太宰府天満宮である。

菅原道真の没後、平安京には異変が相次いだ。その後菅原道真公は雷を操る怨霊、すなわち雷神となって京に禍をもたらしているとする噂が広まった。

この霊を鎮める必要があり、その場所を探したところ北野の地にせよとのお告げがあったとされる。それは、この地には一夜にして千本(たくさん)の松が生えたとする言い伝えがあったためで、北野に北野天満宮を建立された後、全国に祟り封じのための天満宮が建立されることになる。

ただ北野と千本通はかなり距離があるため、名前の由来とするには若干弱い。

千本の卒塔婆説

千本通北大路東入ルに、船岡山という小高い丘がある。

ここは、平安時代後期の保元の乱後の処刑場となったり、船岡山の西には京都三大葬送地の一つ蓮台野(れんだいの)があり、特に応仁の乱の時は戦死者の風葬つまり死体を野ざらしにする場所になったという。

かくして、都から蓮台野へと死体を運ぶ際に死者を供養するために千本(たくさん)の卒塔婆が並べられたことから千本通の異名が付けられたとされている。

往時

北大路通から丸太町通周辺までは「西陣」と呼ばれ、西陣織の全盛期には一大娯楽街として栄え、職人や商人たちが通い詰めたという。

千本中立売には水上勉の小説「五番町夕霧楼」の舞台でもある遊郭街「五番町」があった。今も辛うじてポルノ映画館である千本日活が残るが完全に廃れている。

また千本通から一筋東、一条通から中立売通までとされる南北に貫く土屋町通の一部は150m程の「西陣京極」と呼ばれる場末の歓楽街となっていた。この短い距離に往時には「西陣キネマ」「長久座」「千中劇場」「西陣大映」「西陣東映」と5つもの映画館が並んでいたという。「長久座」は昭和30年代、「西陣キネマ」「西陣東映」は昭和40年代に廃館となった。そして「千中劇場」は「千中ミュージック」と名を改めストリップ劇場となるが失火により1987(昭和62)年に消失、「西陣大映」は「シネ・フレンズ西陣」と館名を改め同性愛者専門映画館としてニッチな需要を満たしていたようだが、これも2005(平成17)年に廃館となった。跡地には民家が建っており、往時の姿はもうない。

この界隈で、これを著している時点で唯一かつての趣を残しているのは銭湯の「京極湯」だけである。

現状

一旦は狭くなった残された千本通だが、三条通以北は明治以降に拡幅が続けられたため殆どの箇所で片側2車線になっており、一部に片側1車線の区間が残る。

一方、三条以南は昔のまま残っており、南方向への一方通行の細い路地となっていて車の通行には適していない。千本三条交差点以南の主要な通りは、後院通経由で大宮通となる。

南部は、途中七条と八条の間で、東海道線・東海道新幹線の線路のために分断しているほか、一筋西に「新千本通」が併走するようになる。

接続する主な道路

インデントした通りは細い路地。<>は交差点名。

  • 北山通 (京都市道北山通(2))
  • 今宮通 (京都市道今宮通(7))
  • 北大路通 <千本北大路> ((京都市道181号京都環状線)
    • 船岡南通 (京都市道船岡南通)
    • 鞍馬口通 <千本鞍馬口通> (京都市道鞍馬口通)
    • 廬山寺通 (京都市道廬山寺通(1))
    • 寺之内通 <千本寺之内> (京都市道寺之内通)
    • 上立売通 (京都市道上立売通(2))
    • 五辻通 (京都市道五辻通)
  • 今出川通 <千本今出川> (京都府道101号銀閣寺宇多野線、京都市道今出川通(1))
    • 笹屋町通 (京都市道笹屋町通(1)、京都市道笹屋町通(2))
    • 一条通 (京都市道一条通)
    • 中立売通 <千本中立売> (京都市道中立売通)
    • 仁和寺街道 (京都市道仁和寺街道)
    • 上長者町通 (京都市道上長者町通)
    • 下長者町通 (京都市道下長者町通)
    • 出水通 <千本出水> (京都市道出水通(2))
    • 下立売通 (京都市道下立売通(1))
  • 丸太町通 (京都市道187号鹿ヶ谷嵐山線、京都市道丸太町通(1))
    • 太子道 (京都市道太子道(1))
    • 押小路通 (京都府道37号二条停車場東山三条線)
  • 御池通 (京都府道112号二条停車場嵐山線、京都市道御池通(6)、京都市道御池通(2))
    • 姉小路通 (京都市道姉小路通(2)、京都市道二条駅緯7号線)
  • 三条通 <千本三条> (京都市道三条通)
    • 後院通 <千本三条> (京都市道三条通)
  • 四条通 (京都市道186号嵐山祇園線、京都市道四条通(1))
    • 綾小路通 (京都市道綾小路通)
    • 仏光寺通 (京都市道仏光寺通(2))
    • 高辻通 (京都市道高辻通(1)、京都市道高辻通(2))
    • 松原通 (京都市道松原通)
    • 万寿寺通 (京都市道万寿寺通(2))
  • 五条通 <五条千本> (国道9号、京都市道五条通(1))
    • 中堂寺通 (京都市道中堂寺通(1))
    • 花屋町通 (京都市道淳風緯8号線)
    • 正面通 (京都市道淳風緯10号線)
    • 北小路通 (京都市道北小路通(2))
  • 七条通 (京都府道113号梅津東山七条線、京都市道七条通(1))

(分断)

  • 八条通 (京都市道八条通(1))
    • 針小路通 (京都市道針小路通(2)、京都市道西寺緯2号線)
    • 東寺通 (京都市道東寺通(2))
  • 九条通 (国道171号、京都府道14号大阪高槻京都線、京都市道九条大路(2))
    • 札辻通 (京都市道札ノ辻通(6))
  • 十条通 <十条旧千本> (京都市道181号京都環状線、京都市道鳥羽道(1)、京都市道鳥羽道(2))
  • 久世橋通 <久世橋通旧千本交差点> (京都市道久世橋通)
  • 京都府道201号中山稲荷線
  • 京都府道202号伏見向日線 <千本通赤池>
  • 丹波橋通 (京都市道伏見西部第二緯34号線)
  • 魚屋通 (京都市道油掛通(3))
  • 京都府道79号伏見柳谷高槻線 (京都市道外環状線(7))
  • 旧京阪国道 <終点・納所交差点> (京都府道13号京都守口線、京都府道35号大津淀線)
  • 京都府道124号三栖向納所線 <終点・納所交差点>
  • 京都府道125号淀停車場線 <終点・納所交差点>
  • 京都府道204号奥海印寺納所線 <終点・納所交差点>

併走する主な道路

  • 周山街道
  • 西大路通

西↑<千本通>↓東

沿道施設、観光地等

  • 京都市立鷹峯小学校
  • 佛教大学
  • 府立盲学校 幼少中高
  • 船岡山公園 (千本鞍馬口東入)
  • 建勲神社 (千本鞍馬口東入)
  • 二条駅
  • 壬生温泉はなの湯 (千本高辻下ル)
  • 光徳公園 (松原通)
  • 角屋もてなしの文化美術館
  • 鳥羽離宮跡公園

道の駅

道の駅はない。

主な橋

  • 小枝橋 (鴨川)

主なトンネル

トンネルはない。

主な峠

はない。

バス停留所

  • (鷹峯源光庵前)
  • 土天井町
  • 鷹峯上ノ町
  • 北木ノ畑町
  • 佛教大学前
  • 千本北大路
  • ライトハウス前
  • 千本鞍馬口
  • 乾隆校前
  • 千本上立売
  • 千本今出川
  • 千本中立売
  • 千本出水
  • 千本丸太町
  • 千本旧二条 (旧・出世稲荷前)
  • 二条駅前
  • 千本三条・朱雀立命館前

(ここで分断)

  • 上ノ町
  • 上鳥羽小学校前
  • 城ヶ前町
  • 岩ノ本町
  • 地蔵前
  • 奈須野
  • 小枝橋
  • 城南宮道
  • 赤池

並行する鉄道

  • 山陰本線

経由する自治体

京都府
京都市
用語の所属
京都市
関連する用語
京都通り名

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