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量子論

辞書:科学用語の基礎知識 物理学編 (NPHYS)
読み:りょうしろん
外語:quantum theory 英語
品詞:名詞
2002/02/27 作成
2014/05/30 更新

相対性理論と共に、現代物理学を支える理論の一つ。多くの科学者がアイディアを出し合いながら、この理論は形作られた。

起源

可観測物理量は各瞬間で定まった値を持ち、測定とはその値を知ることであるとするのが従来の古典論的考え方である。

しかし、それでは説明しきれない物理現象がEPRパラドックスやベルの不等式で明らかとなり、新しく提案された物理学理論の骨組みが、量子論であった。

二つの基本概念「基本変数が同時に定まった値を持つことはない」、「物理状態は基本変数から観測量の確率分布への写像である」から作り上げられた。

初出

量子論は、物質を小さく分割したときに現われる原子電子といった世界の正体に迫る理論である。

マックス・プランクは、黒体放射のエネルギーの観測結果から、光のエネルギーはある単位の整数倍しか取ることができない、とする仮説を提唱し、プランクの法則を見いだした。この時得られた最小単位に関する定数をプランク定数という。

プランクの法則は、その後、アルベルト・アインシュタインニールス・ボーアらにより確立される量子力学の基礎となり、ここからプランクは「量子論の父」と呼ばれるようになった。

プランクは、この功績を讃えられ、1918(大正7)年にノーベル物理学賞を受賞した。

前提

相対性理論は時間空間、すなわち世界の舞台を支える理論であり、量子論はその時空を舞台とした物質の理論である。

量子論は、その対象とするミクロな世界では人のに見える世界(マクロな世界)とは全く違った振る舞いを見せる、としている。ミクロな物質は壁をすり抜けたり、何も無い空間から突如生まれたり消えたりする。日常からは、全く予想できない世界が語られている理論、それが量子論である。

また、これは全ての学者が納得しているわけではないが量子論の一解釈では、我々が住む世界とは違う並行世界、いわゆる「パラレルワールド」が無数に存在する可能性が示唆されている。

理論

量子論が求める要請を満たす理論には、演算子形式や経路積分、確率過程量子化など様々な形態がある。

そのうち演算子形式で物理状態に時間発展を負わせるシュレーディンガー描像、演算子形式で基本変数に時間発展を負わせるハイゼンベルク描像(Heisenberg描像)が一般的な理論の形式である。

世界

量子論は、様々な特徴的な世界を描き、それは時に人の常識を越える。分かりやすく言うと、量子論は大きく次の二つの世界を描くことになる。

  1. 波と粒子の二面性
  2. 状態の共存

ここから、例えば、次のような概念が導き出される。

  1. 原子は、原子核の周囲の決められた軌道上に電子が漂う(電子雲)構造を持つ。電子は原子核を回ってはいない
  2. 真空から物質が生まれ、そして消える
  3. ミクロな物質は壁をすり抜ける(トンネル効果)
  4. 宇宙は「無」から生まれた
  5. 我々の世界とは違う世界がある(パラレルワールド)

波と粒子の二面性

光は、トーマス・ヤングの1807(文化4)年の実験「光の干渉」から、波動の性質(光の波動説)を持つことが確認されている。

しかし19世紀末になると、光は単純な波ではなく、粒子の性質があることが徐々に明らかとなってきた。1905(明治38)年にアルベルト・アインシュタイン光電効果を発見し、この時、「光は波であるが、そのエネルギーにはそれ以上に分割できない最小の塊がある」ことを見いだした。これを今では光子(または光量子)と呼ぶ。

また、1923(大正12)年になるとラザフォードが「電子などの粒子にも波の性質がある」と言い出した。この時、初めて「波と粒子の二面性」が提案された。

状態の共存

大雑把には、ミクロな世界では、物質は複数の状態を同時に持ち、そして誰かが「観測」した時にはじめて状態が確定される、というものである。

この理論は、シュレーディンガーシュレーディンガーの猫などで語られる。

外から中の見えない箱に猫を入れる。この箱には「核分裂する原子」「核分裂を検出する装置」「検出器が動くと働く毒ガス発生装置」も同時に入っている。さて、このうち「核分裂をする原子」は幾らかの時間後に核分裂をするが、それは箱の外からは分からない。従って、箱を開ける直前までは、猫が生きているかどうか分からない。これは誰でも分かる。

これを量子論では、生きた猫と死んだ猫が同時に混ざった状態で存在(Dead and Alive)し、箱を開けた瞬間に一方の猫が実在化し他方が消滅する(Dead or Alive)と説明する。これが状態の共存である。

この時、どちらが存在するかは確率的に予測することはできるが、確実な予測は不可能である。量子論においては、観測する行為自体が状態に影響を及ぼすということである。

素粒子理論においては、空間は「場」(ば)によって満たされているとする。

「場」によって素粒子を考える理論を「場の量子論」といい、これが現在の素粒子理論の根底を築く考え方である。

場の量子論では、素粒子は場の振動で表現される。場が大きく揺れればエネルギーが多く存在し、素粒子も多数存在するとする。

逆に、エネルギーが少なければ場の振動も無くなり、もって素粒子もないとする。こうして場の振動が収まった状態が「真空」と定義される。

振動

場は、空間のあらゆる場所で常に振動している。

場が大きく振動した瞬間は、真空より粒子と反粒子が対になって生まれる。これを対生成という。

但しこのように真空から突如として産まれた粒子の寿命は長くはなく、概ね10−22秒程度(これは1秒の1兆分の1のさらに100億分の1の時間)で二つの粒子は互いに衝突し、エネルギーを放出して消える。これを対消滅という。

こうして場のエネルギーは元に戻り、このためミクロな世界で何が起きていたとしても、マクロな世界の物理学であるエネルギー保存則(熱力学第一法則)は保たれる。

量子力学と呼ばれる学問がある。概念的には、量子論の方がより範囲が広いと考えられる。

量子論は決してニュートン力学(古典力学)だけに対する拡張ではない。「場の量子論」(量子場の理論)や「相対論的量子論」などは古典力学以外のものに対して量子論を適用した姿であるが、これらまで含めて量子力学と呼ぶことは適切ではない。

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