Suica

読み:スイカ
外語:Suica: Super Urban Intelligent CArd 英語
品詞:商品名

JR東日本ICカード乗車券の愛称。ソニーが開発したFeliCaシステムを採用している。

目次

  • 導入: 2001(平成13)年11月18日
  • カードタイプ: Cタイプ (FeliCa)
  • カード規格: サイバネ規格
  • ID番号: JE ([J]R [E]ast)
  • 導入エリア: JR東日本富士急行
  • 発行枚数: 4,247万枚 (2015(平成27)年3月末現在、国土交通省資料、モノレールSuica・りんかいSuicaを含む)
  • 相互利用: ICOCAPASMOTOICAKitacaSUGOCAnimocaはやかけん交通系ICカード全国相互利用参加
  • 運賃支払い機能
    • プリペイド方式によるSF機能 (上限2万円)
    • 定期券機能
  • カード種別
    • Suicaカード (プリペイド券、無記名式) SF機能
    • My Suica (プリペイド券、記名式) SF機能
    • Suica定期券 (定期券、記名式) SF機能+定期券機能
  • デポジット: 500円
  • 会費等: 無料
  • 紛失時: 記名式のみ再発行可能 (再発行手数料は500円)
  • 電子マネー機能: あり
  • その他サービス: Suicaポイントクラブ

目的

2001(平成13)年11月18日から首都圏の駅で導入を開始した、ICカード乗車券である。

名前の由来は、「(自動改札機を)スイスイ通れるカード」より。英名は言うまでもなくこじ付けである。そして「Suica」はJR東日本の登録商標である。

2004(平成16)年3月22日からは、単なる乗車券ではなく、「電子マネー」機能が付いたSuicaも発売が開始され、首都圏のJRでは自動販売機や売店で随時Suicaに対応した。

沿革

  • 2001(平成13)年11月18日: サービス開始
  • 2002(平成14)年: 東京モノレールとりんかい線でもSuica導入開始
  • 2003(平成15)年10月26日: 仙台エリアでサービス開始
  • 2004(平成16)年3月22日: 「Suica電子マネー」サービス開始
  • 2004(平成16)年8月1日: ICOCA(近畿圏エリア)との相互利用開始
  • 2006(平成18)年1月28日: モバイルSuica開始
  • 2007(平成19)年3月18日: PASMOとの首都圏限定の相互利用開始
  • 2008(平成20)年3月15日: 新潟エリアでサービス開始
  • 2008(平成20)年3月18日: ICOCA電子マネーとの相互利用開始
  • 2008(平成20)年3月29日: TOICAとの相互利用開始、PASMOとの仙台・新潟都市圏含めた全エリア相互運用開始
  • 2009(平成21)年3月14日: Kitacaとの相互利用開始
  • 2010(平成22)年3月13日: SUGOCAnimocaはやかけんとの相互利用(電子マネー含む)開始
  • 2010(平成22)年3月13日: TOICA電子マネーとの相互利用開始
  • 2013(平成25)年3月23日: 交通系ICカード全国相互利用開始
  • 2013(平成25)年3月23日: あおなみ線でSuicaの利用サービス開始 (全国相互利用ではなく)
  • 2015(平成27)年3月14日: 新幹線の車内販売での決済に対応(他の交通系ICカードと同様)
  • 2015(平成27)年3月14日: 富士急行大月線でSuica導入
  • 2015(平成27)年3月14日: odeca圏(「気仙沼線BRT」「大船渡線BRT」)でSuica利用開始
  • 2017(平成29)年4月1日: 中央本線や篠ノ井線の幾つかの駅にて新たにSuicaに対応

対応改札機の導入

Suica対応自動改札機は、山手線などの区間を中心として、2000(平成12)年の春頃から準備が進んでいた。

これらの新型改札機では、Suica読み取り機さえ取り付ければ導入が可能となっていたため、東京近郊区間内のほとんどの駅で一斉導入開始が可能となった。

発行枚数

カード発行枚数は右肩上がりであり、ほぼ変わらないペースで枚数が増え続けている。

2005(平成17)年9月時点で約1380万枚(Suica、モノレールSuicaりんかいSuica、ビュー・スイカの合計)だった。

2014(平成26)年1月末時点で約4,557万枚、2021(令和3)年9月末時点で約8,759万枚とされいる。

デザイン

次の項「種類」とも共通するが、Suicaにはデザイン変更の歴史がある。

  1. Suicaイオカード(最初のもの) ‐ ペンギンの絵がない
  2. Suicaイオカード ‐ ペンギンの絵と、右下にスイカのマークがついた
  3. Suica ‐ IOマークが消え、イオカードではなくなった。ペンギンとスイカのマークはそのまま
  4. Suica(●●) ‐ スイカのマークは左上になり●●付きとなった。ペンギンは右下となりこちらを向く絵に変更

種類

新旧様々あるが、新しいものは主として電子マネー等への対応である。

電子マネーに対応するカードには、表面右下部分などに「スイカ」に似たマークが付けられている。これは「Suicaショッピングサービスマーク」という。

Suicaショッピングサービスマーク
Suicaショッピングサービスマーク

更に、インターネットを使ったチャージや決済が可能なSuicaインターネットサービス対応のカードは、このマークの右下に二つの点が付いている。これは「大容量チップ」を表わす目印とされる。未対応の古いカードは対応品に無償交換可能。

Suicaショッピングサービスマーク ●●
Suicaショッピングサービスマーク ●●

500デポジット払って買うSuica以外は全部「提携Suica」の扱いで、これはマークの右上に「+」が付けられている。

Suicaショッピングサービスマーク ●●とプラス
Suicaショッピングサービスマーク ●●とプラス

記名式・無記名式

Suicaには、名前や生年月日など個人情報が登録されている記名式のSuica「My Suica」と、そうでない無記名式のSuica「Suicaカード」、定期券機能を持った「定期券Suica」の三種類がある。

定期券やモバイルSuica、あるいはSuica内蔵ビューカードは常に記名式になる。券売機で購入するSuicaカードについては、どちらかを選ぶことができる。

記名式Suicaは、紛失・盗難時でも再発行が可能で、またSuicaポイントクラブに入会することで電子マネーとして使用時にポイント還元を受けることも可能である。

利用範囲

現状

2013(平成25)年3月23日交通系ICカード全国相互利用が開始されたため、次の範囲内で利用できる。※が、全国相互で新たに対応したエリアである。

  • Suica対応エリア (JR東日本)
    • 首都圏エリア
    • 仙台エリア
    • 新潟エリア
  • 北海道
    • Kitaca対応エリア (JR北海道)
  • 関東周辺
    • PASMO対応エリア (関東私鉄等)
  • 東海
    • TOICA対応エリア (JR東海)
    • manaca対応エリア (名古屋地区私鉄等) ※
  • 近畿
    • ICOCA対応エリア (JR西日本)
    • PiTaPa対応エリア (関西私鉄等) (ポストペイ未対応、チャージ機能を利用)) ※
  • 九州

範囲拡大の沿革

交通系ICカード全国相互利用までの勢力拡大。

①PASMO対応エリア(首都圏の私鉄・地下鉄)

かつてのパスネットは、IC化されPASMOとなった。

2007(平成19)年3月18日より、首都圏の私鉄・地下鉄がPASMOを開始させ、Suicaも同日より相互利用を開始したことで、Suciaは首都圏の広範囲で利用可能となった。

次のことが、相互で可能。

  • 改札の通過
  • 自動券売機での切符購入
  • 自動券売機での履歴表示・印字
  • 自動券売機での入金(チャージ)
  • 電子マネーとしての利用

鉄道、バスのみならず、電子マネーについても相互利用が行なわれている。

つまり、PASMOエリアでは、SuicaをPASMOのように、そのまま利用出来る。

②ICOCA対応エリア(JR近畿圏エリア)

2004(平成16)年8月1日から、JR西日本の「ICOCA」対応エリア(近畿圏エリア)内の交通機関での利用が可能になった。

次のことが、相互で可能。

  • 改札の通過(在来線のみ)
  • 自動券売機での切符購入
  • 自動券売機での履歴表示・印字
  • 自動券売機での入金(チャージ)

また、2008(平成20)年3月18日からは電子マネーも相互利用が開始された。

つまり、開始時点では次のように運用されていた。

 近畿圏 関東(首都圏)
JRICOCA←→Suica
 ↑↓[※1] ↑↓
私鉄・バスPiTaPa PASMO

[※1]ICOCAとPiTaPaは交通利用としてのみ相互運用された。電子マネーは相互運用されていない。

③TOICA対応エリア(JR名古屋エリア、JR静岡エリア)

次のことが、相互で可能。

  • 改札の通過(在来線のみ)
  • 自動券売機での切符購入
  • 自動券売機での履歴表示・印字
  • 自動券売機での入金(チャージ)

TOICAエリアでは現在、電子マネーサービスを行なっていない。

④北海道と九州

2009(平成21)年3月14日にJR北海道のKitacaと、2010(平成22)年3月13日に九州の3カード(SUGOCAnimocaはやかけん)との、電子マネーを含む相互利用が開始された。

これにより、ICカードを用いているJRは全て相互利用されることとなった。

⑤交通系ICカード全国相互利用

2013(平成25)年3月23日、交通系ICカード全国相互利用に伴い、新たに名古屋地区私鉄のmanaca、関西私鉄のPiTaPaとの相互利用が開始された。

なお、PiTaPaは交通のみの相互利用で、電子マネーは相互利用されていない。

利用方法

自動改札機の切符投入口の上部にセンサーが取り付けられており、このセンサーにカードをタッチするだけで改札機を通る事ができる。

従来の磁気式カード(イオカード)では、改札機にカードを挿入しなければ内容の読み書きが出来ず不便であったが、Suicaは電波で改札機と交信が可能であるため、定期券入れなどに入れたままで利用出来る。

特急列車への乗車

Suica対応の同一エリア内で完結する場合に限り、特急券を別に買えば新幹線や特急にも乗車が可能である。

特に、Suica定期券で新幹線に乗った場合、新幹線の自動改札機を通った時点でチャージ金額より自動的に特急料金が減算される。なお、異なるエリアに跨る場合は適用できず、通常通り切符を買わなければならない。

チャージ(入金)

通常のカード型Suicaで、手動でチャージする方法を記す。

家で

FeliCaポート/パソリ」を購入し、インターネットに接続可能な環境があれば、Suica付きビューカードでクレジット入金できる。

Suica圏外でクレジットカード入金を使いたい場合は、パソリとSuica付きビューカードが必須になる。

Suica圏/PASMO圏

Suicaが主として利用される関東圏では、Suica/PASMOが相互利用されている。このため、Suicaだけでなく、PASMOのチャージに対応した場所でもチャージ可能。

駅の券売機やコンビニエンスストアなど様々なところでチャージ可能だが、基本的には現金でチャージする。

カード発売機、または駅ATM「VIEW ALTTE」(ビューアルッテ)では、ビューカードでのみ、クレジットカード決済でのチャージが可能。

その他JR

Kitaca(JR北海道)、TOICA(JR東海)、ICOCA(JR西日本)、SUGOCA(JR九州)の各エリアでは、対応した駅の券売機、またはコンビニエンスストアなどで、現金でチャージできる。

たとえみどりの窓口ででも、クレジットカードでのチャージは出来ないので注意。

そもそも、JR東日本の駅ATM「VIEW ALTTE」(ビューアルッテ)は、JR東日本の管内以外には存在しない上、新幹線用のクレジットカード対応券売機ですらSuicaその他のチャージに対応しない(おそらく意図的に)ので、JR東日本エリア以外では、Suicaは使いにくいと言える。

どうしてもクレジットカードでチャージしたいなら、パソリを購入して自宅でする必要がある。

また、その他JRや私鉄では、自動改札機でのオートチャージも出来ないので注意。

種類

JR東日本からは大別して、次の2種類が発売されている。

  • Suicaイオカード ‐ 磁気式のイオカードをIC化したもの
  • Suica定期券 ‐ 定期券とイオカードを併せ持ってIC化したもの

Suicaは、定期券の場合は1つ、定期なしの場合は2つ、右端に切り抜きがある。これはバリアフリー対策とされている。

Suica イオカード・電子マネーサービス非対応
Suica イオカード・電子マネーサービス非対応

Suica 定期券・電子マネーサービス非対応
Suica 定期券・電子マネーサービス非対応

共に、誤って使い捨てされないように、最初の購入時にデポジットとして500円が必要(最初の購入代金に含まれる)となっている。デポジットは、カードを返却すれば戻ってくる。

派生した商品として、クレジットカードである「ビューカード」機能を付けた「ビュー・スイカカード」や、携帯電話と組み合わせた「モバイルSuica」も発売されている。

ビュー・スイカ定期券(表)
ビュー・スイカ定期券(表)

ビュー・スイカ定期券(裏)
ビュー・スイカ定期券(裏)

また、JR東日本が発売するものの他に、次のものがある。

利点

ICカードならではの特徴として、使い捨てでは無い点がある。Suicaでは、上限2万円まで、自動精算機や自動券売機などで繰り返して何度でもチャージして利用する事ができる(但し一回のチャージは最大1万円まで)。

また、Suica定期券ではイオカードと機能が融合しているため、定期区間外への乗り越しや、区間外からの乗車の場合でも(チャージ残金が足りれば)自動で精算が完了するので、精算機などの精算や切符の購入が不要となる。

前引き・後引き

Suicaは、元々は前引き方式だった。乗車駅で必ず初乗り運賃が引かれ、降車駅で差額分が引かれた。

2004(平成16)年8月1日から、「ICOCA」対応エリア(近畿圏エリア)内の交通機関での利用が可能になったが、ここでは関西スタイルで、料金徴収方法は後引き方式となった。

そして、2007(平成19)年3月18日のPASMOとの相互利用開始にあわせ、Suicaは完全に後引き方式へと変更となった。但し入場時に初乗り運賃相当額の残高確認をする、としている。

圏外

Suicaで入札した場合、Suica圏外では出札できない。

その場合、「Suica・パスネット処理連絡票」など(鉄道会社によって異なる)が渡されるため、Suica対応の駅の窓口で精算せねばならない。

遠くへ行く場合、入札前に行き先がSuica対応かどうかを考えないと、とても残念なことになる。

ロック

モバイルSuicaや定期券を含む記名式Suicaは、6ヶ月間(半年間)利用がない場合にロックされ、利用できなくなる。定期Suicaを半年使わない人はよっぽどの人だろうが、モバイルSuicaは可能性があるだろう。

また、記名式Suicaを紛失または盗難された場合も、届出をすることで、翌日始発までに該当のSuicaに強制的にロックを掛け、残高は手数料を支払うことで新しいSuicaへと移すことが可能である。

最終利用日については改札口の乗降のほか、物販利用も適用され、ここから起算して半年でロックされる。鉄道を利用しない場合でも、たまに電子マネーとして使っておけば、ロックされることはないということである。

半年でロックすることについては取扱規則に規定が存在する。

東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則

(制限事項等)

第23条

4. 次の各号の1に該当する場合には、ICカード乗車券を自動改札機で使用することはできません。

(4) 記名ICカード乗車券においては、自動改札機による入場若しくは出場、Suica定期乗車券の発売、SFの使用又はSFのチャージのいずれかの取扱いを行った日の翌日を起算日として、当社が別に定める期間これらの取扱いが行われなかったとき

ロックを掛ける理由は公開されていないが、それは容易に推定可能である。なぜなら、上にあるように紛失時にカード残高が戻るということは、その額面等がJR東日本のサーバーコンピューターに保存されているはずである。しかし何千万枚も発行されているすべてのカードの残高を常に保管し、データベースの検索候補とすることは能率面でも容量面でも効率的でない。そこで未使用が続く場合、バックアップへとそのカード情報を移し、普段運用するサーバーからは情報を削除するほうが現実的である。

このため、バックアップに移されてしまったカードについてはロックが掛けられ、サーバー保存されているカード情報と実際のカード内の情報での不一致が生じないようになっているのであろう。

なお、無記名Suicaの場合は最初から盗難・紛失による再発行がないため、サーバーに蓄えておく必要もなく、このためロックされること自体がないと推定される。

Suicaのペンギン

ペンギンのデザインは坂崎千春(さかざきちはる)。アデリーペンギンが元になっているとされる。スイカ(西瓜)という暑い地域の植物に対し、それを知らなそうな寒い地域の動物として選ばれたとされる。

このペンギンには、公式には名前がない。2005(平成17)年11月発売の坂崎千春作の絵本「ペンギンのおかいもの」では名前が「スイッピ」とされているが、これは絵本のペンギンの名前であって、JR東日本の公式名ではない。ただ、JR東日本の中の人は、この名前を否定はしていない。

Suicaのメカニズム

Suicaは、自律分散システムである。単純なクライアントサーバーモデルではない。

Suicaは一日に数千万件のトランザクションがあるが、これを一ヶ所で処理するのは、いくら多重化しても難しい。単純なセンター問い合わせ系システムであれば、遅い、不安定、高コストと三拍子揃い、センターが止まったら駅はパニックに陥るだろうし、Suica自慢の「0.2秒で処理が終わる」ことも到底実現できない。それでも安定維持しようとするなら非常に費用がかかるシステムになる。そこで自律分散という機構が導入されており、センターへの問い合わせを最小限で済ませられるようになっている。

センターが最上位とすると、この下に駅ノードが存在し、ここに各クライアント(自動改札機)がぶら下がる。基本的なチェックはクライアントの段階で可能。また駅ノードの段階でも、各駅で横の繋がりがあり、仮にセンターが長期に渡り止まっていたとしても、実務には影響が出ない。

つまり、これは料金徴収システムであるが、決まった場所にあるデータを取ってきて使う、という処理ではない。現場では速やかに処理を通しておいて、あとから整合性を取るのである。なぜ動いているのかよく分からないが、それでも動く、インターネットに似た機構がSuicaのネットワークでは形作られている。

ちなみに不正乗車もきちんと監視されており、不正カードなど本来改札を通すべきではないものの情報「ネガデータ」(ネガティブデータ)は、3分(一駅移動する間)で反映されるとしている。この機能はSuicaとPASMOが連携した2007(平成19)年3月18日から導入されたとされ、2007(平成19)年10月12日に処理プログラムの不具合で自動改札機が開かなくなるトラブルが発生したことで機能の存在が広く知られるようになった。

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