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アフラトキシンB1

辞書:科学用語の基礎知識 化学物質名・毒物編 (NSUBNP)
読み:アフラトキシン・ビーワン
外語:aflatoxin B1 英語
品詞:名詞
2002/07/26 作成
2008/09/24 更新

黴毒の一つで、アフラトキシンの一種。現在知られる中では、自然界における最強の発がん性物質である。

  • 分子式: C17H12O6
  • 分子量: 312.2782
  • 比重: (該当資料なし)
  • 融点: 268℃
  • 沸点: (該当資料なし)
  • CAS番号: 1162-65-8
  • ICSC番号: (登録なし)
  • 化学名:
    • (CAS名) Cyclopenta(c)furo(3',2':4,5)furo(2,3-h)(1)benzopyran-1,11-dione,2,3,6a,9a-tetrahydro-4-methoxy-, (6aR-cis)-
    • (IUPAC名) (6aR-cis)-2,3,6a,9a-Tetrahydro-4-methoxycyclopenta[c]furo[3',2':4,5]furo[2,3-h][1]benzopyran-1,11-dione

アフラトキシンB1
アフラトキシンB1

常温常圧乾燥下では、青白色〜黄色の結晶性粉末で無臭。

紫外線を当てたときに青く見えるため、アフラトキシンBという名が付いている。

安全性

法規制など

  • 食品衛生法 第六条二
    • 販売目的での採取、製造、輸入、加工、使用、調理、貯蔵、陳列の禁止
    • (基準)「食品中に検出されてはならない」

危険性

  • 引火点: (該当資料なし)
  • 発火点: (該当資料なし)
  • 爆発限界: (該当資料なし)

有害性

  • 刺激
    • 腐食性: (該当資料なし)
    • 刺激性: (該当資料なし)
    • 感作性: (該当資料なし)
  • 毒性

環境影響

  • 分解性: (該当資料なし)
  • 蓄積性: (該当資料なし)
  • 魚毒性: (該当資料なし)

危険性注目の経緯

  • 七面鳥X病事件(1960(昭和35)年)

飼料に使用されていた、ブラジル産のピーナッツミールより発見された。

毒性

  • アフラトキシン類の中で一番毒性が強いのはB1
  • 発がん性が問題
  • アフラトキシンとB型肝炎は相乗効果があり、B型肝炎の人はそうでない人と比べ毒性が約15倍といわれている

汚染されたピーナッツを食べた七面鳥が死んだことからこの毒の存在が知られるようになった。この経緯からも分かるように、急性毒性として肝臓への毒性が知られている。

ただし鳥類は感受性が高く、それと同じ濃度ではヒトに対して急性毒性を発現しないとは考えられている。

残留基準

その毒性は、ダイオキシンの10倍とされる。

日本では「食品中から検出されてはならない」としている。しかし一般的な分析法の検出限界が10ppbとなっており、これに満たない量が混入した場合は検知できない(より検出限界が低い分析法も、存在はする)。

国によって、おおむね次にようになっている。

  • 日本: アフラトキシンB1に対して不検出(実質10ppb)
  • アメリカ: 総アフラトキシン(B1+B2+G1+G2) 20ppb
  • EU: 食品ごとに基準が決められている

ダイオキシンは実はそれほど有毒ではないのに対し、こちらアフラトキシンB1は非常に強力な毒性を持っている。

マウス実験では、1ppbを104週与えて肝がんを発生、15ppb以上の飼料では68週で肝がんを起こしている。なお1ppbとは、50メートルプールに1g混ぜた程度の濃度に相当する。

アフラトキシンはDNAに直接作用し、細胞変異修復蛋白質を作るp53遺伝子を変異させたり、細胞増殖を制御するRAS蛋白質の遺伝子を変異させる。

問題

黴毒全般に言うことができるが、植物病原の黴が毒を産生するので制御が難しい。またターゲットが穀類なので「ある粒には多量に含まれるが、別の粒には全く含まれない」ような分布をするため、調査のサンプリングが極めて難しいという技術的な問題がある。

アフリカの一部では、実際に相当な量摂取しており、その地域では肝がんになる確率が有為に高い。

なお、アフラトキシンは落花生、ピスタチオ、アーモンド、ブラジリアンナッツ、トウモロコシ、穀類全般に付くようである。

輸入食品

現在、この黴毒のリスクが世界的に問題になっており、輸入されたナッツ類(ピスタチオ等)から高濃度のアフラトキシンB1が検出されるなどし、社会問題となっている。

また支那から輸入された蕎麦の実などからも検出されている。現在、日本で食べられている蕎麦の7割は支那からの輸入品だとされており、非常に深刻な問題である。

加えて2008(平成20)年9月には、やはり支那やタイから輸入された餅米より検出され、これが長年にわたり故意に日本国内に流通させられていたことが判明した。

大阪市北区の米粉加工販売会社「三笠フーズ」や、愛知県の接着剤製造会社「浅井」と「太田産業」から、汚染米が食用として出荷され、様々なものに使われていたことが発覚し大問題となった。

トウモロコシ

玉蜀黍(トウモロコシ)の場合、虫害の後に黴が生えることが分かっている。

このため、虫害を受けないよう遺伝子組み換えされた「BT-玉蜀黍」(BTコーン)の方がアフラトキシン濃度が低いことが知られている。

「遺伝子組み替え」と聞いて無闇に拒絶する者もいるが、現実には普通の玉蜀黍の方がずっと健康に悪いのである。

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