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カリウム40

辞書:科学用語の基礎知識 原子元素・名称編上 (NELEMN1)
読み:カリウム・よんじゅう
外語:40 K 英語
品詞:名詞
2011/05/19 作成
2013/05/25 更新

カリウムの同位体の一つで、放射性カリウムの一つ。

  • 記号: 40K
  • 原子番号: 19
  • 質量数: 40 (陽子19、中性子21)
  • 天然存在比: 0.0117%
  • 半減期: 12.7億年
  • 崩壊の種類:崩壊後生成物
    • β崩壊崩壊) → 40Ca
    • β崩壊(EC崩壊) → 40Ar
    • β崩壊(β+崩壊) → 40Ar
  • 主な由来

天然カリウム中に0.0117%含まれる、放射性同位体である。

約12.7億年と長い半減期を持っており、このため約46億年の歴史を持つ地球上にも残っている。カリウムは地球の地殻の約2.6%を占めており、その中のカリウム40から出るγ線は、代表的な自然放射線の一つである。

カリウムは必須主要元素ということもあり日常的に摂取される。但し同等量が排出されているため、体内の量は概ね一定に保たれる。

カリウム40の放射能はさほど強くないが、動植物体内中には豊富に存在するため、ウラン235(235U)、トリウム232(232Th)とともに3大自然放射能の一つを占めている。

放射能

動植物にとってカリウムは必要不可欠で、また自然界にも豊富に存在する。

成人には体重1㎏当たり2g程度のカリウムがあるとされる。成人では一人当たり約4000ベクレル(Bq)のカリウム40が存在し、一日あたり約50から75ベクレルのカリウム40が摂取されるが、概ね同量が排出される。

体内に在する自然放射能カリウム40による年間の被曝線量は、0.17ミリシーベルトとされる。

生成

カリウム40に限らずカリウムは、宇宙において、より軽い元素から中性子捕獲によって生成されると考えられている。通常の核融合の経路にはないことから、恒星が超新星爆発する際のr過程にて合成されると考えられている。

超新星爆発によって生成されたカリウム40は、その後太陽系が形成される際に地球にも取り込まれ、今に至るものと考えられる。

地球での量

カリウムは、地球型惑星(岩石惑星)に多く存在し、地球にも豊富に存在する。

地球の場合は、地中の岩石(おもに花崗岩)に含まれるカリウム40(40K)やウラン235(235U)などの崩壊が地熱の主要な熱源となっており、崩壊後生成物であるアルゴン40(40Ar)は地球大気の主要な成分の一つとなっている。

このアルゴンから、かつて地球にあったカリウム40の量を推定することもできる。

アルゴンの安定核種は3種(36Ar、38Ar、40Ar)あるが、恒星の核融合で作られる同位体は36Arのみである。地球上では36Arは僅かで、全体の99.600%が40Arである。

これは、地球上のアルゴンの殆どが40Kの崩壊で作られたためで、生成された40Arが大気中に放出され、これが蓄積された結果、この特徴的な同位体比率となった。

40Arの半減期(12.7億年)と地球の年齢(46億年)から逆算すると、地球誕生当時は現在の12倍以上(246/12.7≒12.3)の量のカリウム40があったと推定できる。

毒性

毒性自体は、安定同位体カリウムと同じ。

生体への影響

科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、カリウム40の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。

  • 吸入摂取した場合 (すべての化合物) 3.0×10−6
  • 経口摂取した場合 (すべての化合物) 6.2×10−6

つまり、10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.062ミリシーベルト(62マイクロシーベルト)である。

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