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Athlon

辞書:科学用語の基礎知識 中央演算処理装置商品名x86編 (INCPU86)
読み:アスロン
外語:Athlon 英語
品詞:商品名
1999/06/26 作成
2014/03/10 更新

AMDの開発した、Intel互換マイクロプロセッサーのブランド。

AMDの第7世代x86互換プロセッサーとして登場したのが初出である。

初期型のAthlonの他に、拡張されたAthlon XP、XPをマルチプロセッサー化したAthlon MPなどがある他、派生製品として廉価版のDuronや、Duronの後継Sempronなどがある。

それまでのAMDの互換プロセッサーは、Intelとソケット互換であった。しかしIntelが特許で固めたSlot 1や関連のソケットを採用したことを受けて、Athlon以降はソケット互換ではなくなった。

バス

Intelのバスが特許の塊になってAMDが利用不可能になってしまったことから、初期型のAthlonからは独自のバスが採用された。

具体的には、DECがAlphaプロセッサー用に開発したEV6バスを採用している。

1GHz

互換含めたx86プロセッサーとして初の動作クロック1GHzオーバーの製品が投入されたのも、Athlon(開発コードネームK75)だった。

互換性

x86のソフトウェアを使用できるソフトウェア互換のプロセッサーであるが、ハードウェアとしては殆ど互換性がない。

従って、マザーボードや電源装置なども、Intel用のものとは別に、専用に対応したものを使用する必要がある。

コア

CPUコアの開発コードネーム。

  • 初期のシリーズ
  • Athlon XP向けシリーズ
    • Corvette (コルベット) (※これは発売されず、次のPalominoに改名された)
    • Palomino (パロミノ) 初代Athlon XPコア、第4世代Athlon
    • Mustang (マスタング) (※これは発売されなかった)
    • Thoroughbred (サラブレッド) 0.13μmプロセス、第5世代Athlon
    • Barton (バートン) Thoroughbredの2次キャッシュを倍増した、同じく第5世代Athlon
    • Thorton (ソートン) Bartonベースだが2次キャッシュはThoroughbredと同じ、同じく第5世代Athlon
  • KabiniコアAPU
    • Jaguar

製品

Athlonブランドを冠された、主要な製品は以下のとおり。

K7

K7は、初期型Athlonの開発コードネーム。

0.25μmプロセスで製造され、CPUコアの動作クロック500MHz以上。128Kiバイトの1次キャッシュ(命令・データ各64Kiバイト)、512Kiバイト〜1Miバイトの2次キャッシュを搭載した。

性能は、同時期のPentium Ⅲと拮抗しており、整数演算性能はほぼ互角だったが、浮動小数点演算性能はK7の方が優れていた。

Intelとハードウェアの互換性はないが、殆ど全てのパーツは流用されており、部品数をむやみに増やすべきでないというPCベンダーからの要望を汲み入れ、かつ量産効果によるコスト削減も狙われている。

例えばスロットは、IntelのSlot 1を逆向きにして誤挿入を防止した「Slot A」が採用された。

K75

K75は、0.18μmプロセスにシュリンクした製品。

CPUコアの動作クロック550MHz以上で、最大で1GHzの製品が投入された。1GHz台に到達したのは、x86互換プロセッサーとしては業界初である。なお、1GHz動作K75の開発コードネームは「Magnolia」だった。

但し、CPUコアに対して、コア外に搭載されていた2次キャッシュのSRAMは動作が遅く、動作周波数はCPUコアの1/2から1/3程度だった。

K76

K75がアルミ配線であるのに対して、銅配線で製造されたものがK76である。

但し性能差がないため、K75と殊更に区別されることはなかった。

Thunderbird

Thunderbirdは、CPUコアはK75をベースに、2次キャッシュをコアに統合してCPUコアの動作クロックと等速動作を可能とした製品である。

コア外にキャッシュを置く必要がなくなったことから、「Socket A」対応のソケット型パッケージに戻されている。FSBは、初期型が200MHz、後期型が266MHzであった。

Athlon XP/MP向けシリーズ

Athlon XP、Athlon MP、用およびMobile Athlonシリーズ用として登場したシリーズである。

実際に製品として登場したCPUコアは、次の4種類である。

  • Palomino (パロミノ) 初代Athlon XPコア、第4世代Athlon
  • Thoroughbred (サラブレッド) 0.13μmプロセス、第5世代Athlon
  • Barton (バートン) Thoroughbredの2次キャッシュを倍増した、同じく第5世代Athlon
  • Thorton (ソートン) Bartonベースだが2次キャッシュはThoroughbredと同じ、同じく第5世代Athlon

Athlon 64/X2向けシリーズ

64ビット対応した一連の製品シリーズである。

Athlon Ⅱ(Phenom Ⅱ)ベース

Athlon Ⅱは、Phenom Ⅱをベースに、3次キャッシュを削除した製品シリーズである。

Athlon Ⅱ(APU)ベース

AMD Fusion APUのCPUコアを用いたSocket FM1版のAthlon Ⅱである。

APUとは違ってGPUを内蔵していないため、別途ビデオカードが必要である。

製品名は継承しているが、従来とは内部構造が大幅に違っており、別系統のCPUであるといえる。

Athlon (Kabini)

APUベースのAthlon Ⅱに続き、KabiniコアAPUベースのソケット式APU「Athlon」も製品化された。

Kabiniは、「Jaguar」アーキテクチャーのCPUコア、「GCN」アーキテクチャーのGPUコア、各種I/Oを統合したSoC型APUであるが、これをデスクトップPC向けにソケット式のAPUとして提供するものである。

用語の所属
AMD
関連する用語
EV6バス
Socket A
Duron
Sempron
Turion 64

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