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ブラックホール

辞書:科学用語の基礎知識 天文学天体用語編 (USTLY)
読み:ブラックホール
外語:BH: black hole 英語 , 黑洞 支那語(大陸・台湾)
品詞:名詞
2001/08/31 作成
2013/01/24 更新

あらゆるものを吸い込むとされる天体。いわゆるの一つではあるが、概念的にはが近い。

ブラックホールの名は、アメリカの理論物理学者ジョン・アーチボルド・ウィーラー(John Archibald Wheeler)によって命名された。

ブラックホールは仮説の時代から様々な研究が進められ、現在ではその存在は事実と考えられている。

更に、4次元時空、つまり我々が直感的に感じる時空間だけではなく、より高次元空間のブラックホールなども様々な仮説が出されている。これは「高次元ブラックホール」と呼ばれている。

以下は、4次元時空ブラックホールについて述べる。

吸引

ブラックホールは重力が極めて強く、このため内部の光さえ脱出できない。

また周囲の物質を吸い込み、ブラックホールの質量を増大させる。

但し、落とし穴に落ちるようにスポッと落下するわけではない。時空が歪んでいるブラックホール周辺では時間が遅れており、外から見る限りはのんびりと吸い込まれるように見える。

チリやガスがブラックホールに吸い込まれる際、その周囲に落ちるのを待つ円盤が形作られるが、これは「降着円盤」と呼ばれる。

ブラックホールには毛がない

ブラックホールにはパラメーター(属性)が三つしかない。質量、角運動量、電荷である。つまり大きさはなく、点、あるいは0(無限小)、すなわち「0次元」である。

この三つ以外の要素は全てブラックホール内に落ち込むため、外部から観測することが出来ないとする。

ブラックホールの命名者ウィーラーは、このパラメーターが三つしかないブラックホールについて「black holes have no hair.」(ブラックホールには毛がない)と述べ、互いに異なるブラックホール同士の区別が不可能であることを説明した。

「毛」がないと断ずる根拠はマクスウェル方程式にあるが、その他の理論を元にすれば毛が生える可能性もあり、様々な科学者が育毛研究に励んだ。

ちなみに日本では、毛が三本しかないことにちなみ、これを「おばQ定理」と呼ぶ向きもある。この命名の代表者は、天文学者の福江純とされている。

質量

ブラックホールのパラメーター(属性)の一つで、ブラックホールの規模を特徴づける指標が質量である。

現時点では、観測されているブラックホールの質量は全て有限の値である。ただ、ブラックホールの物性上、その質量は、数学的に無限の値まで許されている。

これを著している時点で観測史上最小は、2012(平成24)年に発表されたもので、オランダ・アムステルダム大学などの研究チームにより、米ロッシX線天文衛星を用い、さそり座の方向に発見した、太陽質量の3倍弱程度のものである。このブラックホールは恒星との連星になっており、恒星から流れ込むガスが高温となりX線を放出することから観測されたという。太陽質量の3倍弱という質量は、理論上の下限に近い。

観測史上最大は、2012(平成24)年1月7日に報道された、米カリフォルニア大などの研究チームがハワイのジェミニ北望遠鏡やケック2望遠鏡で観測した、しし座銀河団にある銀河の一つの中心で、太陽質量の97億倍という。また、かみのけ座銀河団の銀河にも同等以上の質量と推定されるブラックホールを発見したという。

半径

中心には、密度時空の歪みが無限大となる特異点があり、その周囲は空間の歪みによってすらも脱出できない。

光が脱出不可能な領域と可能な領域の境界は「事象の地平面」という。この半径シュバルツシルト半径という。

内側に入ったら再び出られないこの半径内が事実上のブラックホールであると言え、一般にブラックホールの大きさといえば、これを指す。その半径は質量に大きく依存するが、前述のように、実体としてブラックホールは大きさを持っていない点は留意が必要であろう。

ブラックホールの蒸発

スティーヴン・ウィリアム・ホーキングによると、ブラックホールは蒸発するとされる。

この説では、事象の地平面近傍で物質反物質対生成され、生成した質量分ブラックホールのエネルギーが減る。

そうすると一方が地平線の内側に落ち込み、一方が地平線から離れるので、遠くから見れば地平線近傍から物質や反物質が沸いて出て、だんだんブラックホールの質量が減るように見えるとされる。

属性による分類

質量M、角運動量J、電荷Q、という三つの属性の状態によって4種類に分類する。

質量角運動量電荷名称
M静止なしシュバルツシルト・ブラックホール
MJなしカー・ブラックホール
M静止Qライスナー=ノルドシュトルム・ブラックホール
MJQカー=ニューマン・ブラックホール

規模による分類

現時点では、ブラックホールには大きく3種類が考えられている。

  1. 恒星型ブラックホール
  2. (超)巨大ブラックホール
  3. 中質量ブラックホール

恒星型ブラックホール

一つは恒星型ブラックホールと呼ばれる、太陽の数倍〜10倍程度の質量のブラックホールである。

太陽の30〜40倍程度の恒星が超新星爆発を起こしてできると考えられている。

巨大ブラックホール

もう一つは、電波銀河クエーサーなどの活動銀河核(AGN)となっているブラックホールで、その質量は太陽の数百万倍から数億倍と考えられている。

これが巨大ブラックホール超巨大ブラックホールである。しかしこのような巨大なブラックホールが、いつ、どのようにして出来たのかは現代天文学では不明であり、ブラックホール研究では最大の謎となっている。

中質量ブラックホール

そして最後に、その中間程度の大きさ、つまり太陽の100〜1万倍ほどの質量の中質量ブラックホールである。

この中質量ブラックホールはX線天文衛星チャンドラによってM82に観測された。

かつては球状星団(ペガスス座M15アンドロメダ銀河内の球状星団G1など)の中心部にも存在が疑われたが、現在それは否定されている。

高次元ブラックホールとは、4次元時空(3次元空間×時間)よりも次元数の大きい空間、という視点から見たブラックホールのことである。

人工的に作る研究が進められているブラックホールは、この高次元ブラックホールである。

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