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ラジウム226

辞書:科学用語の基礎知識 原子元素・名称編下 (NELEMN7)
読み:ラジウム・にひゃくにじゅうろく
外語:226 Ra 英語
品詞:名詞
2011/10/16 作成
2016/04/08 更新

ラジウム同位体の一つ。

ウラン・ラジウム系列の6番目の核種である。

この系列には途中、半減期の長い核種があり、またこのラジウム226自体も半減期1600年と比較的長いことから天然にも微量存在し、空気中にも含まれる。

また、このラジウム226から作られるラドン222は、主要な放射能泉の放射線源である。

崩壊

半減期は1600年で、α崩壊してラドン222になる。

この崩壊自体は、体内に大量にあるなどの事態を除いては実害はほぼ無いが、ウラン・ラジウム系列として鉛206にまで崩壊する過程でβ崩壊崩壊)する同位体が多数あり、その際にはγ線が放出される。

確率の高い経路では、次のようにして鉛206に至る。

  • ラジウム226 (1600年、α崩壊)
  • ラドン222 (3.824日、α崩壊)
  • ポロニウム218 (3.10分、α崩壊)
  • 鉛214 (26.8分、β崩壊)
  • ビスマス214 (19.9分、β崩壊)
  • ポロニウム214 (164µ秒、α崩壊)
  • 鉛210 (22.3年、β崩壊)
  • ビスマス210 (5.013時、β崩壊)
  • ポロニウム210 (138.4日、α崩壊)
  • 鉛206 (安定同位体)

全ての同位体が半減期で半分が崩壊したとすると、ラジウム226が崩壊すると、数日中に鉛210にまで崩壊を続け、しばし安定する。鉛210が崩壊すると半年程度で鉛206にまで崩壊し、安定する。

生化学

ラジウムはカルシウムとよく似た生理反応を示すが、カルシウムとは違い必須性は確立されておらず、このため必須元素には含まれていない。

摂取されたラジウムはカルシウムと類似の経路で、比較的速やかに人体に取り込まれる。消化管からの吸収率はカルシウムよりも高いとされている。吸収されたラジウムは、カルシウムと同様、ほぼ全量がに貯蔵される。

しかも、核種としてはより危険性が高いα崩壊核種で、崩壊過程では何段に渡って強いα線を出し、途中、強いβ線や強いγ線も出る。最後には鉛になるので、理論上は重金属毒性も出る可能性がある。但し量の問題で、鉛になったとき重金属の毒性が問題になる量なら放射線障害が先に出るだろう。

放射能

ラジウム226の放出するγ線をゲルマニウム検出器で測定すると、頻繁に電子陽電子の対生成であるSEやDEが確認できる。これはつまり、電子二個分の質量のエネルギーよりも強力なγ線が出ていることを意味する。

日本で話題のセシウム137もβ崩壊でγ線を放出するが、このγ線は弱く、SEやDEは一つも確認できない。

ラジウム温泉は人気で全国にあるが、当然、ここからはこのような強いγ線が出ている。それでもここで放射線の被害を受けたり、あるいは重金属毒性が出たという報告は、過去一件も無い。毎日この温泉の近くにいる温泉関係者も相当量の被曝をしているはずだが、こちらも騒ぎになったことはない。

ラジウムやラドンが存在する場所から出るγ線が健康に良いため、みな、わざわざお金を払ってまで温泉を浴びに来るわけである。人間の長年の経験で、それほど害のあるものではないと分かっている。

生体への影響

科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、ラジウム226の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。

  • 吸入摂取した場合 (すべての化合物) 2.2×10−3
  • 経口摂取した場合 (すべての化合物) 2.8×10−4

つまり、10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は2.8ミリシーベルト(2800マイクロシーベルト)である。

世田谷区ラジウム

事件

2011(平成23)年10月、東京都世田谷区弦巻の古い平屋の民家で、床下から夜光塗料として製造された日本夜光製のラジウム226入り小瓶が数本発見された事件である。

民家脇の区道で2.7µSv/hが計測されたため発覚、宅内に入り瓶を発見した。報道により数値にばらつきがあるが、高さ1mで3.35µSv/h(日本経済新聞)、1m離れた場所で20µSv/h(朝日新聞)、瓶表面で600µSv/h(朝日新聞と産経新聞)が計測された。瓶撤去後に敷地内で放射線量を再測定したところ、0.05µSv/h〜0.09µSv/h(産経新聞)となり、ほぼ平常値に戻ったという。

なおラジウムだが、腕時計の針や目盛、目盛りの一部にラジウムを塗り、針や目盛りに夜光塗料を塗っておくと暗闇でも光って大体の時間が読めるので、昔はよくこうしていたらしい。

状況

この民家は昭和27から28年に建築された建売住宅で、当時で築60年ほどの木造平屋建ての住宅だった。

  • 発見時は空き家になっていたが、瓶は簡単には開けられないような場所にあった
  • 昭和35年頃から2011(平成23)年2月まで住んでいた92歳の女性が「見たことも無い」と説明した
  • 10年前に亡くなった夫も証券会社に勤務でラジウムとは無縁であった
  • 瓶自体が同じくらい古いものであった

証言など様々な状況から判断すると、この瓶は建築の時から放置されていたものと推定される。

健康状態

一躍人気者になった「放射能おばあさん」は、当時92歳で老齢のため介護老人保健施設に入所していたが、特に病気はなかった。

当時から10年前、82歳で老衰により他界した夫も放射能を受けた人がなりやすい白血病がんが死因ではなかった。ここで育ち各々結婚するまですごした3人の子供たちも今や50から60代だが「みんな健康体」だった。おばあさんからみて孫にあたる子供も健康だという。

しかもこの蛍光塗料は、昔は日本中で普通に使われていたことから、同様のケースは日本中で次々と発見される可能性がある。

線量の計算

計算しやすいように3µSv/hとして、24時間室内にいたとして72µSv/日、26.28mSv/年、ということになる。その上、この「ホットスポット」の真上に長く住んでいた夫婦は、特に大病を患うことは無かった。

低線量の放射線が体に良いとは昔から言われていたが、証拠が少なかった。しかし家にいることが多かったはずの奥さんの方が長生きしており、50年以上在住し、推定1500ミリシーベルト(1.5シーベルト)を被曝したと見られながらも、90歳になっても一人暮らしが出来たくらいに健康だったのは事実である。

子供は放射線に弱いなどとも言われるが、ここで生まれ育った子供たちも60前後でなお元気であった。

これら状況証拠から、「年間100mSv未満であれば問題ない」とする統計的な調査(疫学)を裏付ける結果の一つとして、重要なデータとなった。

検討すべきこと

僅かでも放射線を浴びたら最後、明日にでも死ぬかのような喧伝をする人々がいるが、これはイメージ戦略に過ぎない。

彼らは放射能で人がばたばた死んでいくようなイメージを植え付けるべく活動をしているが、証拠なく叫んでいることから、このような戦略においては「50年間も相当量の被曝をしたがピンピンしている」実例があると非常に困るのである。

なお、地球に住んでいる人は、自然界からの放射線を常に浴び続けており、日本にいれば年間約1.5ミリシーベルト、世界平均で約2.4ミリシーベルトの自然放射線を浴びる。

用語の所属
ラジウム
同位体
関連する用語
放射線
放射能泉

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