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恒星

辞書:科学用語の基礎知識 天文学天体用語編 (USTLY)
読み:こうせい
外語:fixed star 英語
品詞:名詞
2001/05/10 作成
2020/08/28 更新

宇宙で自ら光を放つ高温のガス体で、太陽のような天体のこと。いわゆる「お星さま」。宇宙には色々な星があるが、単にと呼んだ場合、この恒星を指す事が多い。

恒星は星雲の中で重力によって形成され、重力によって結合しているガスの塊である。

その恒星の形状はほぼ球体である。内部は不透明であり、その表面からを放射する。

中心部では水素核融合してヘリウムを作りながら膨大なエネルギーを放出している。この状態がいわゆる主系列星であり、恒星は寿命の大半をこの状態で過ごす。太陽も、この状態である。

質量での分類

質量と星の直径は必ずしも相関しない。

  • 大質量星 (太陽質量の8倍以上)
  • (太陽程度の質量の恒星)
  • 赤色矮星 (太陽質量の8%程度以上)

↑ここから上が恒星、以下は参考

  • 褐色矮星 (太陽質量の1.3〜7.5%程度)
  • 惑星 (それに満たない質量で、恒星を周回する天体)

恒星の一生

恒星の一生は、その質量によって四通りある。「太陽の0.08倍以下の時」「太陽程度」「太陽の8〜30倍」「太陽の30倍以上」で異なる運命をたどる。

褐色矮星

太陽質量の8%以下の質量の場合、それは恒星にはなれない。

幾ら縮んでも中心部の温度が十分に上がらず、核融合反応が始まらないからである。

褐色矮星は核融合反応をしないので恒星と呼ぶことができず、同時に寿命も定義できない。

太陽程度

太陽程度の質量の場合、主系列星を経て、やがて赤色巨星となり、外層を吹き飛ばして惑星状星雲を経て、最後は白色矮星になる。

質量から、核融合反応は、

  1. 水素→ヘリウム
  2. ヘリウム→酸素炭素

までしか進まない。

太陽程度の質量であれば、寿命は100億年程度である。

太陽の8〜30倍

太陽の8〜30倍では、主系列星を経て、やがて赤色巨星となり、最後は超新星爆発をおこして、中性子星になる。

質量があるため、核融合反応は、

  1. 水素→ヘリウム
  2. ヘリウム→酸素・炭素
  3. 酸素・炭素→酸素・ネオンマグネシウム

と進み、最終的にまでが作られる。

しかし鉄は核融合を起こさないため、中心核に鉄ができた時、重力によって中心核は収縮を始める。その後、自分自身の重力を支えられなくなり星全体が崩壊(重力崩壊)し、超新星爆発を起こす。

寿命は2000万年程度である。

太陽の30倍以上

太陽の30倍以上では、主系列星を経て、やがて赤色巨星青色巨星となり、最後は超新星爆発をおこしてブラックホールになる。

質量があるため、8倍以上の恒星と同様に、核融合反応は最終的に鉄までが作られる。そして同様に、自らの重力により星が崩壊し、超新星爆発を起こす。

後に残される天体は、1cm³あたり200億トン以上という超高密度となるが、これも自身の重力を支えることができずどこまでも収縮をし、そしてブラックホールとなる。

寿命は500万年程度である。

恒星という名の由来

恒星という名は、英名fixed starからの翻訳である。大昔より夜空の星が、惑星を除いてその輝く位置が殆ど変わらず、常に不変で恒久的であるということから名付けられた。

しかし実際には恒星も運動していることが現在では分かっており、恒星も固有運動が検出できる。また、時間によって明るさの変わる恒星も存在し、そのような天体は変光星と呼ばれている。

恒星の数

我々の太陽系のある銀河系だけでも2000億個以上の恒星があると考えられている。

そして宇宙全体では銀河系規模の銀河が1000億以上あると考えられている。大雑把な計算では、宇宙全体の恒星は2000億×1000億=200垓個、となる。

ただし、地表から肉眼で「星」として認識できるのは、空が比較的暗い場合でも6等星程度までといわれる。従って、人間が直接見ることのできる恒星は全天で6000〜7000個程度、実際に地平線上に見える星の数となると最大でも4000個程度に過ぎない。

恒星の命名

歴史

研究や識別のため、星には古くから名前が付けられてきた。様々な名前の付けかたがあり、またカタログに収載された星ではそのカタログでの番号などもあるため、よほど珍しい天体でない限り一般的には一つの星に複数の名前(や番号)が存在する。一方、球状星団や銀河の中の恒星であるなど、一つ一つ名前を付けていられないような膨大な数の恒星は、その殆どが無名である。

また恒星の並びは星座を作り、星座は古くより神話と組み合わせて語られるほか、いくつかの星には星そのものにも独自の神話を持つことがある。

例えば七夕の時の主役となる星に彦星と織姫があるが、彦星はアルタイルという固有名詞があり、和名で牽牛星という名があり、バイエル符号では「わし座α星」(α Aql)で、フラムスティード番号では「わし座53番星」(53 Aql)で、他にカタログ番号でHD 187642、HR 7557、HIP 97649、といった番号が存在する。織姫もベガという固有名詞があり、和名で織女星という名があり、バイエル符号では「こと座α星」(α Lyr)で、フラムスティード番号では「こと座3番星」(3 Lyr)で、他にカタログ番号でHD 172167、HR 7001、HIP 91262、といった番号が存在する。

バイエル符号

星座は古くから様々に作られてきたが、これをまとめ体系化する切っ掛けを作ったのはドイツのバイエルであり、彼の著書である全天星図Uranometria(ウラノメトリア)が後の天文学に大きな影響を与えた。

バイエルは、各星座ごとに基本的に最輝星をα星とし、αβγ…とギリシャ文字で星に名前を付けるという星の命名方法、バイエル符号を発案した。

その他

現在、恒星などの天体に名前を付けることが唯一国際的に認められているのは、国際天文学連合(IAU)のみである。

新星超新星といったものもIAUに報告することで世界の天文学者が調査し、その星に適した符号が付けられる。必要なら恒星に固有名詞を与えることもあるが、小惑星彗星などと違い恒星の場合はあまりない。

しかし現在、この星に有償で名前を付けるなる民間企業が実在し、その代表はInternational Star Registryである。この企業がいかなる名前を天体に付けようともそれは国際的には無効であり、IAUはその命名を承認することはない。このためこういった企業は一般に詐欺企業である。

用語の所属
天体

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近距離恒星
主系列星
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